カテゴリ:旅編(東京都以外)( 25 )

広島のレストラン喫茶

性格がアレなせいか薄暗くてこじんまりとした喫茶店が好きですが、子どもが産まれてからはそのような店に行くのは難しくなりました。
喫茶店に行くために夫に子守をしてもらい一人で出掛けることもありましたが、後ろめたさで落ち着かず早々に店を出ることがほとんどでした。最近になりようやくそんな思いをすることもなくなりましたが……。
付き合わせるのも結局のところエゴになってしまうものの、子ども連れで入り易いレストラン喫茶やキャパシティの大きい喫茶店に行く機会が増えました。店内や客席との間隔が広いのであまり気を遣わずに寛げてありがたいです。

旅先では広島県内のレストラン喫茶2軒が印象に残っています。入り易さを意識して選んだ店ではなかったのですが、どちらも家族連れやグループ客で賑わっていて、料理の味が良かったです。

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広島市十日市のレストラン喫茶紫苑はお昼を避けて訪れたのに、店内はほぼ満席でした。なんとか空いている席を見つけて座りメニューを開いたところ、テンダーロインステーキにはじまりポークチャップ、自家製だしのうどん、丼、カレー、ドリンク各種、甘味まで豊富な内容でした。大いに迷ってオムレツ、プリンアラモード、コーヒー、ジンフィズ、ホットケーキと、それぞれが食べたいものを注文したところ、厨房は混んでいたのか出来上がった品から随時運んでくれました。
真冬なのにスイカが入ったアラモードに驚き、縁に「紫苑」と書かれた皿に載ったオムレツは見た目は食堂の一皿っぽかったのですが、卵が半熟で洋食屋の味だったので感動しました。手焼きのホットケーキは出て来るまで30分ほど掛かり、一品ずつ料理を楽しんでいるうち長居してしまいました。
周りも食事が終わってからもすぐ席を立たずに寛いでいるお客が多く、年配の女性グループがずっとお喋りしていたり、隣の男性二人組はポテトフライとアイスコーヒーで話込んでいました。その一方で若いグループ客が食事するなど、それぞれの世代が好きなスタイルで過ごせる雰囲気の店でした。

レストラン喫茶紫苑 広島市中区十日市 (2017年に閉店したそうです)

呉市の喫茶赤煉瓦は朝の時間帯に訪れたため、モーニングメニューのみの提供でしたが、こちらも手造りのポテトサラダや卵料理がおいしく食べて驚きました。外観からは分かり難かったですが奥行きのある店内で、家族連れでモーニングを食べに来ている人たちも見かけました。
店内の中程には鯉のいる池があり、食事中に何度も席を立ち鯉を見に行く息子には閉口しましたが、店に来ている他の子どもたちも同じことをしていました。昔、店ではペンギンを飼育していたそうです。現在でも鯉がいるレストランなど珍しいのに。気軽に入り易い雰囲気でしたが、料理の味や内装を見るにつけ、昔は一寸高級な店だったのかもしれません。

赤煉瓦 呉市広本町

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by matsutakekissa | 2018-07-31 07:24 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

今治の思い出

 
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 『四十七都道府県の純喫茶』に掲載されていた喫茶「不二家」に行くため今治を訪れたのは4年前のことでした。「不二家」は予想どおりの内装が素敵な喫茶店でしたが、その他にも印象に残った喫茶店があったので書いておこうと思います。
 
 福山駅から長距離バス「しまなみライナー」で1時間半。ようやく着いた四国・今治でした。駅前は閑散としていても、駅前旅館に駅前食堂、少し歩くと歓楽街、広いアーケード。この町がかつては栄えたことを示していました。
 大通り沿いにチモトコーヒーの看板があったので近づいてみると、「自家焙煎珈琲アポニー」とありました。ビル2階への案内板をはじめ、階段途中のショーケースに飾られた年代物の小物や、オレンジ色のアクリル板扉は年月を重ねた老舗の雰囲気で、期待をふくらませて入店すると店内はきれいに改装されていました。
 マスターにブレンドを注文すると3つ脚のネルドリップで慎重にコーヒーを淹れ、最後にはスプーンで味見してサーブしてくれました。その一連の動作と白い上着を着ていることもあって、研究室の学者っぽくみえる姿でした。
 店は1965年創業、現マスターで2代目だそうです。店の外と中のギャップが面白い、と伝えると「最近はそう言われるお客さんもたまにいます」と言われました。外装を変えていないのは使えるところはそのままで行こうという考え方なのでしょうか。理由は訊きそびれてしまいました。
 以前はペーパードリップだったそうで、ドリッパーを見せながら「店ではネルですが、自宅ではペーパーですよ」と仰っていました。
 店を出る間際、豆を買う女性の若いお客さんが来店して世間話を始めた途端、今治弁になるマスターでした。老舗店や自家焙煎店という言葉から連想されるかたい雰囲気の店でなく、気楽に入れておいしいコーヒーが飲める明るい雰囲気の店でした。

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 もうひとつ印象に残っている店は、ジャズ喫茶の「ファイブイン」という店でした。ジャズ喫茶なのにマスターから「ジャズかけて大丈夫ですか」とか「音、うるさくありませんか」など、控えめな言葉に却って驚きました。「全然、大丈夫です」と言ったのですが、ずっとボリュームは小さめでした。カウンターの奥には日本全国のジャズ喫茶のマッチが飾られ、びっしりとレコードが棚に埋まった店でした。
 偏見かもしれませんが、東京あたりの自家焙煎店やジャズ喫茶だと、「本物志向」の店主が「わかっている人だけ来ればいい」というスタンスで営まれていることが珍しくありません。多数の競合店があり、他との差別化を図るためにも必要なことだと思いますが、ジャズや自家焙煎に特段興味のない自分はそういう店に入ると、とても緊張します。
 しかし、今治は自家焙煎コーヒー店もジャズ喫茶店も外観でそうした自己主張が強くなく、たまたま立ち寄った結果、そういうジャンルの喫茶店だったという具合でした。2店ともマスターは穏やかでお話もしやすかった。カウンター席に座ったせいもあったかもしれませんが。

アポニー
愛媛県今治市共栄町2丁目

ファイブイン
愛媛県今治市室屋町


 
 

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by matsutakekissa | 2018-06-11 22:52 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

それぞれのPRポイント

 先日バナジューとホットケーキの話を書いて思い出したことがありました。4年ほど前、大阪は難波の「アメリカン」という喫茶店に行った時のことでした。
 山之内遼氏の著書『47都道府県の純喫茶』にあった「アメリカン」の紹介で“デザートの餡やソースなど手作りし、客席に生花を飾る店”という部分に興味を持ち、早速現地を訪れると、人通りの多い繁華街にアメリカンはありました。午前中のお昼前の時間帯にもかかわらず、お客の出入りが常にある繁盛店でした。
 注文したコーヒーとホットケーキを食べていると、すぐ近くの席で取材のような会話のやり取りが聞こえてきたので、つい耳をそばだててしまいました。
 そのうちホットケーキの撮影が始まり、取材者側がホットケーキにシロップを掛けた瞬間を撮影したいと申し出たところ、経営者らしき女性がこのように応じていました。
 「うちのホットケーキは生地がシロップをすぐ吸い込むし、シロップ自体さらさらしてますから…」

 その時すでにホットケーキを食べていたので何となく趣旨が分かったのですが、恐らく取材者側は家庭用ホットケーキミックスの箱の写真にあるような、トロリとしたメープルシロップをホットケーキにかけた状態を想像していたのだと思います。
 取材者側が改めてホットケーキにまつわるこだわりやエピソードについて質問したところ、「うちはコーヒー屋なので珈琲豆のいいものを昔から使っています。コーヒーが看板メニューです」と返していました。

 その時は「流行りのホットケーキを取り上げてもらったらいいのに」と率直に思いました。ちょうどパンケーキブームの頃で、喫茶店のホットケーキも注目され、当時は盛んにTVや雑誌などで話題の店が取り上げられていたからです。

 ずっと後になってからあの日のことを改めて考えました。
 会話の端々から想像したにすぎませんが、経営者側の趣旨としては、
 コーヒー屋としての原点を忘れず、よい材料で手を抜かずにコーヒーを提供していること、ホットケーキなどの甘味にも力を入れているが、サイドメニューとして考えており、デザートショップではない、といったところだったのではないでしょうか。

 もし、自分が取材者だったとして、自分が想像していたことと異なる展開になったならば、どんな記事を書くだろうか。また、それが映像だったらどのように編集するだろうか。文字数にゆとりがあれば経営者側の思いを伝えながら人気メニューの紹介ができるのかもしれないが、「ホットケーキが人気の店ベスト20」のようなごく短い説明文を添えた特集記事や、平日夕方放送の報道番組内の街ネタ枠で三十秒の紹介であれば、丁寧に紹介することは難しいのだろうな、などと考えました。

 ほとんど思い込みというか想像の範疇で書いたことばかりですが、アメリカンのホットケーキはおいしかった。薄めに焼かれていて食べやすかった。それだけは確実です。


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上記の写真は、ミニチュアのホットケーキのフィギュア。『街角のレトロ喫茶店』(発売:リーメント)より。
メープルシロップの掛かったホットケーキといえば、こんなのを想像します。


 




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by matsutakekissa | 2018-05-24 22:04 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

バイパス沿いの温室喫茶

 香川と聞いて発想するのが饂飩とこんぴら参り。この唄が脳内再生されてしまいます。
 「金比羅船々 追手に帆かけて しゅらしゅしゅしゅ」
 近年になり本やWEBの検索等で建築でも有名な県ということを知りました。丹下健三設計による県庁舎と体育館をはじめ、高名な建築家による建造物が複数存在しています。イサム・ノグチの美術館に行きたかったのですが事前予約が必要だったこともあり、県庁舎をみるために2年前、高松を訪れました。
 県庁舎は鉄筋コンクリートなのに和風に見え、遠目にも圧倒的存在感のある建物でした。この庁舎を日常風景として過ごしてきた高松の人たちは、他の自治体の庁舎を見たら何と思うのだろうかな。
 街を歩いているとうどん屋はいくつか目に入ってきましたが、その他多いと感じたのは書店の数でした。自分が住む町の近隣の中規模書店がこの数年でバタバタ閉店したことを考えると羨ましいかぎりです。
 
 建築以外の目的のひとつは郊外型の喫茶店を訪ねることでした。1970年代発行の雑誌から現存する店を調べたところ、香川県は郊外型の店が多いようで、そのうちの一軒である国道11号線沿い、1976年創業の店を訪ねました。国道11号線は徳島、高松、丸亀、松山へと至る交通の大動脈のひとつ。バイパス沿いにありがちな24時間営業の派手な看板を掲げるチェーン店が、店の周辺になかったのは意外でした。

 内装設計は四国では有名な寒川商業建築設計所によるものだそうです。内装担当者の話によるとドライバーに目につくデザインを取り入れようと、意外性のある透明なトンネル型の建物を設計したそうです。見る人によっては電照菊のビニールハウスのようにも見えるとのこと(『商店建築』1977年より)。掲載写真を見ると格好良い外観ですが、外から丸見えだし冷暖房費は高くつかないのだろうかと余計な心配をしてしまいました。

 辿りついてみれば店内は大きく改装され、開業当時にはなかった2階席が増築されていました。1階の道路に面した窓には目隠し用のシールが大きく貼られ、日よけ用のロールスクリーンが設置され、道路と建物の間の庭には樹木も植えられています。そのためドライバーへのアピールは開業時より弱いのかもしれませんが、40年の歳月を経ても建物自体は斬新に映りました。
 店内1階の内装は開業時と比べてやや趣が異なり、衝立と観葉植物が所々に配置されて落ち着いた雰囲気に見えます。増設した2階は1階とは設計者が異なるのかウッディ―な印象で、隠れ家のような屋根裏部屋の感じ。外観はクールな印象、内装は暖かみのある雰囲気のギャップが素敵な店でした。

軽食喫茶 光琳
香川県東かがわ市大内町西村
7時半~18時 火曜休(2016年訪問時)
参考文献:『商店建築』1976-77年

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by matsutakekissa | 2018-05-17 18:21 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

1.5人前のバナジュー

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 所用で何度か会津若松を訪れたことがあります。初めて訪れたのが今から10年以上前。駅前ホテル1階の書店では郷土史がやたら充実していたり、地下道の出入口が東西南北ではなく、玄武、朱雀、青龍、白虎の名前で付けられていたことが印象に残っています。
 もう一つ印象に残っったのがパーラーキャンドルという喫茶店。会津若松駅からほど近い場所にあり、店の前に置いてあるキカイダーの像がよく目立っていました。
 入口には新選組の文字が入った提灯が飾られていたので、観光客向けの店かと思い入ってみました。店内には世間話をしていた風のおじさんとマスターと店員さんが居て、一瞬はっ、とした顔をしたあと、2階の客席を薦められました。
 1階はカウンターとテーブル2席ほどでしたが、2階は4人掛けテーブル席メインでゆったりした配置でした。屋号はパーラーだったものの、渡されたメニュー表ではソースカツ丼、カレーうどんなどの食事系も揃っていました。バナナジュースとホットケーキを注文したところ、階下の厨房より焦っているというか、すこし揉めているようなやり取りが聞こえてきました。
 「ホットケーキの粉、どこ? 牛乳は?」「作り方はこれみればいい?」「あ、作りすぎた。まあいいや」
 あまり出ないメニューを頼んでしまったのだろうかと少し不安になりました。
 15分ほどして提供されたのは分厚いホットケーキ2枚にバナナジュース1と1/2杯。背の高いグラスの縁までなみなみと注がれたバナナジュースに加え、もう一つお冷のグラスにもバナナジュースが注がれていました。
 「たくさん作りすぎたので、サービスです」とマスター。コーヒーのお替りをサービスしてくれる店にはたまに出会うことがありましたが、ジュースを余った分まで提供してくれる店は初めてでした。
 店を出る時には「どうかお気をつけて楽しんできてください」と送り出され、あたたかいおもてなしを受けました。
 それにしても、何故キカイダーの像が店の前にあるのか、今もってよくわかりません。店は2013年頃に内外装をリニューアルして、キレイになりましたが、キカイダーの像はそのまま。今度訪れる機会があれば、訊ねてみたいものです。

パーラーキャンドル
会津若松市大町2丁目
※日曜が定休日でした

 

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by matsutakekissa | 2018-05-11 20:34 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

ハッピーで悪夢の話

 7年ほど前、旅行で堺市を訪れました。その日が日曜だったためか駅前には営業中の喫茶店が見当たらず、目的地の方面へと歩きました。
 駅から1キロほど離れると住宅地帯に入り、飲食店の数が少なくなったので喫茶店に入ることを半ば諦めていたのですが、大通り(紀州街道)まで出ると回転灯がくるくる回る喫茶店があったので入ってみることにしました。
 カウンターのみの店内。端っこに座りとりあえずモーニングを注文すると、ホットドッグとコーヒーで350円。なんて安いんだろう、と感動していると、カウンターの奥で常連らしいおばさんが店のママに昨晩見た夢の話をしていました。
 「私、カマボコが大っ嫌いやねんけど、夕べな、でっかいカマボコに追っかけられる夢見たんや。ほんまにぞっとしたわ」
 蒲鉾が大嫌いな人がこの世の中にいるんだな。だけど蒲鉾が追っかけてくる夢なんて奇抜すぎる。
 しかし、おばさんは真顔で恐怖を語っているので、可笑しくても笑えない雰囲気でした。ママさんがどんな相槌を打っていたのか、店の内装などのディテールも忘れたのですが、私にとって耳慣れない泉州弁で蒲鉾の悪夢を語っていたことだけが、いつまでも忘れられない思い出です。


軽食喫茶ハッピー
大阪府堺市堺区宿屋町

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by matsutakekissa | 2018-05-08 21:36 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

旅先の駅前喫茶店

 一応、東京の喫茶店を優先的に書いているため、旅先などの喫茶店はおざなりになりがちです。来店後時間が経ったものもあり、外観が印象的だった3軒を忘れないうちに書き残しておきたいと思います(カッコ書き部分は来店した年と月)。

日東紅茶ティーパーラー 島根県浜田市 (2010年10月)

b0158023_21201910.jpg 昨秋、永年の夢だった鳥取・島根旅行に出かけました。米子、境港、松江を2泊3日でゆったりまわる旅のはずでしたが、結局はやや急ぎ足の旅になり、2日目は翌日の移動のため浜田に宿を取ることとなりました。
 日暮れ時、松江駅から電車に乗り込み、浜田駅に着いたのは夜も更けてからでした。移動のために泊まるだけだったため事前に下調べもしなかったのですが、駅前には古いアーケード商店街がありました。少し寂れた街並みでしたが、端から端を歩くだけでも旅情を感じました。
 翌朝、駅前に古めかしいビルがあることに初めて気がつきました。パーラーの看板が出ています。しかも営業中でした。昨晩はあれだけ歩いたのに、なぜ気付かなかったんだろう。連れ合いを説得して、30分だけということで急いで店に向かいました。
 モーニングセットの札が下がるドアを開けると、古びた内装の店内に改めて驚かされました。テーブルやイスはもちろんのこと、すべてが色あせて使い込まれた感じ。アンティークの古い電話機や陶器製のネコたちも隅っこに座っています。
 モーニングを待つ間に雑誌の棚をのぞくと、地元の人が書いたと思われる地元グルメ紹介ファイルがありました。独特の筆文字で綴られた手作りのガイド本でした。店のチョイスは甘いもの屋などが多く、女性による執筆なのでしょうか。その他古い食堂や洋食店の紹介もあって、浜田に1日いられるならメモを取って、まわってみたいほどでした。壁際はギャラリースペースになっており、町のあちこちを写したスナップ写真が飾られています。ちょっとした町の情報案内所のようでした。
 カウンターには常連と見られるお客さんが座り、マスターらと朝の時間をゆったりと楽しんでいました。これがこの店の毎朝の風景なんだろうな、と思いつつ、慌しく店を後にしました。

 今思うと、店名はなぜティーパーラーなんだろう?単純に日東紅茶と頭に付くから?
 東京・日比谷には「日東コーナーハウス」という名の老舗レストラン喫茶がありますが、日東紅茶の普及事業のひとつとして、「日東」の屋号を付けた喫茶室経営を展開させていた時期があったのでしょうか?

モーニングはA(卵、トースト、飲み物)450円、B(トースト、目玉焼き、サラダ、飲み物)550円の2種類がありました。日曜も朝から営業していました。


喫茶パール 新潟県長岡市(2011年9月)

 b0158023_12171558.jpg乗換のため、越後湯沢のホームに降りると、おなじみのアナウンスが流れてきました。「乗換の方はお急ぎくださ~い!」どうやらまた、「はくたか」が遅れていたもよう。乗り継ぎの「とき」は、また待たされているのだろうな。
 鈍行で1時間半近くかけ、長岡駅に着きました。観光の後、時間が余ったため喫茶店探しをしました。時間のゆるす限り何軒かはしごしましたが、外観に最もインパクトを受けたのがこちらの店でした。
 駅前アーケードの裏に店はありました。鉄製のプレートには「純喫茶パール」と書いてあります。石材で覆われた外壁は重厚な雰囲気でした。
 店内は外観と違って柔らかな雰囲気でした。壁には花の写真が掛けられ、テーブルにも花が。椅子にはざぶとんが敷いてあります。そうか、店主が女性の方だからかな。
 訪れた日は残暑が厳しかったのですが、店内の片隅に置きっぱなしのストーブがありました。北国の秋は短く、冬は長いのだろうなあと想像してみました。
 午後1時までモーニングサービスをやっているせいか、お昼が近いのにトーストやサラダを食べているお客さんがいて、マイペースな感じでした。どうぞ、ごゆっくりと言われて、旅先にもかかわらず、周りのペースに合わせてくつろいでしまいました。

コーヒー 400円

喫茶マツ 茨城県石岡市 (2010年12月)

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  用事があって石岡まで行くことになりました。せっかく遠出するのだからネットで下調べすると、観光協会のホームページに看板建築の街並みが紹介されています。ギリシア風の外壁に店内は日本風の和洋折衷で、アンバランスな雰囲気です。その建築様式の建物の中に、「四季」という喫茶店があるのを知り、行くことに決めました。
 石岡駅前からは昔ながらの商店が軒を連ねていました。食堂に蕎麦屋、薬屋に時計店、おもちゃ店・・・。通りを歩いていると2階建の喫茶店がありました。大きな建物です。まるで「建築写真文庫」とか、古い喫茶店の写真で目にする大型喫茶店の風貌のようでした。こんな大型店が今でもあるのだなあ。
 店内は半地下、1階、2階席と3フロアに分かれていました。2階席への階段にはロープが張られていましたが、昔から内装を変えることなく営業を続けてきたように思われました。
 椅子とテーブルが整然と並び、団体客にも対応できそうな席数です。地下1階の席に座りました。壁の石造りのあしらいはごくシンプルでした。これまで訪れた大型店にありがちな派手な装飾物や置物はなく、観葉植物が飾られていました。
 ちょうどお昼時で周囲のお客さんはランチの人ばかりでしたが、店内が広いので、飲み物だけでも気兼ねせず過ごせました。コーヒーにはおせんべいやチョコなどのお茶請けが出てきて、意外にも家庭的です。と思っていたら、実際のところ家族経営のようで、店の方の子どもさんが店内の片すみで遊んでいました。
 
コーヒー 400円
9時30分~夜7時までの営業。日曜休。
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by matsutakekissa | 2011-12-03 21:28 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

思いつき

 この秋、神戸に行ってきました。10年ほど前に住んでいたこともあって、良くも悪くも思い入れの深い場所です。当時は本当に限られた場所にしか足を向けませんでした。今思うと、勿体ないことをしたものです。
 特に新開地や長田あたりは「あの辺はガラが良くないから、あんまりうろうろせんほうがええよ」と、友人からよく釘を刺されました。他人のせいにしちゃいけませんが、新開地や湊川公園周辺は当時の勤め先からも近かったのに、ほとんど足を向けることもありませんでした。
 しかし、今となっては躊躇する理由もありません。あちらには漫画家水木しげるのペンネームの由来となった水木通という町名があるのだし、ようやく行ってみようという気持ちになりました。
 新開地のメーンストリートはきれいに舗装されてはいましたが、人通りは少なくがらんとしていました。ぞろぞろと競艇に向かうオジサンたちの列が続いているくらい。横断歩道には交通整理の人が数人配置されているのですが、人出のわりに大げさというか、やや、ものものしい雰囲気に感じられました。

 せっかくここまで来たので、新開地の老舗喫茶「エデン」に行きました。
 一見さんばっかりでざわついた雰囲気の店を想像していましたが、実際に見たのは常連さんがくつろぎ、会話する、どの喫茶店にもあるおなじみの風景でした。有名店というのは、あくまでも第三者的な評価であり、百聞は一見に如かずであることに、遅ればせながらようやく気付かされました。
 船室に似せて作られたという凝った内装も、創業祝い(たぶん)の鏡の市内局番がひとケタなのも、わざわざ見に行く価値のある店だと思いますが、それに加えてすばらしかったのは、マスターの客あしらいのうまさでした。
 マスターは想像していたより意外と若い方ですが、ご自身の両親以上の齢のお客さんを相手にしていたかと思えば、店に似つかわしくない雰囲気ばりばりの余所者の自分にも、合間合間に話しかけてくれ、誰にとっても居心地のよい空間を創り出す人柄のあたたかさがありました。
 ここをきっかけに、新開地や湊川公園近辺の喫茶店を何軒かはしごしました。パチンコ開店待ちの客が集う「ベラミ」、「コーヒ」と大書した看板が目立つ「小町」、おしぼりとお冷とホワイトパピロが同時に出てきて食堂みたいにだだっ広い「ベニス」など、どの店もそれぞれの個性があり、地元の人に慕われていました。
 
 1年半後、再び新開地を訪れました。この日の目的は入江近くにある喫茶「思いつき」を訪ねることでした。昨年訪れた「エデン」では、神戸の飲食店を紹介した「神戸ぶらり下町グルメ」*という本を拝見したのですが、読んでいて最も印象に残ったのがこちらのお店でした。
 本には文字通り“思いつき”で始めた四人姉妹の喫茶店という紹介とともに店内奥で並んで写る写真が掲載されていました。近隣で働く人たちのためのざっかけない雰囲気の店だとか、海近くという立地条件にも惹かれました。b0158023_21155550.jpg
 阪神高速の橋げたの下を通り過ぎ、陸橋を渡っていくと雰囲気が徐々に変わってきました。船工具という看板のかかった工場が数軒ありましたが、意外にも町なかは眠ったように静かです。
 看板が出ていなければ民家として通り過ぎてしまうようなひっそりとした外観でした。
 そっとドアを開けると、おばあさん2人がテレビを観ていて、このお2人が店の方たちでした。
 店中央の大きなテーブルを勧められましたが、窓際のつくりつけのテーブルのある席を希望して座りました。昔の駅の待合室の椅子に座ったような感覚で、反対側の窓ぎわにすえ付けられた大きな液晶テレビを観賞する格好となりました。デラックスな感じ。
 椅子にしばらく座っていると、床の部分は入口に向かってなだらかな傾斜になっていることに気付きました。この理由について伺うと、掃除のとき水はけがよくなるように、つまり「楽をするため」なんだそう。

 本の掲載を見てこちらへ伺った旨をお伝えすると、いろいろな本やテレビで紹介されたのだと、お2人はかわるがわる、店について、お話を聞かせてくださいました。
 最近うれしかったのは神戸新聞への掲載だったそうで、今では珍しくなった葉っぱの模様が入りの窓ガラスをうまく切り絵に再現してくれたと、記事の切り抜きを見せてくれました。実際の窓ガラスをよく見てみると、なるほど、凝っています。自分たちはずっとあたりまえに使っていたものだけど、珍しがってやってくる人たちは目のつけどころが違うなあ、よく気が付くとおっしゃっていました。

 建築や美術に関心のある若い人たちを連れて、お孫さんが店にやってきたこともあるのだとか。店内はもちろん、店奥のお茶の間など住居部分までお宅見学されたそうです。「建もの探訪」みたいな様子を想像しながら、さまざまな人が興味をもち、わざわざここに訪れてきているのだと感慨深い気持ちになりました。

 お茶するという本来の目的以外で訪れるお客さんも増えた近ごろですが、元々は近隣にあった造船所神戸ドックで働く工員さんたちの利用が多く、椅子に座るような暇は片時もないほどだったとか。
 肉体労働の彼らには、ケーキやお饅頭が飛ぶように売れた、と今は置き物などを入れてあるガラスケースを指さして教えてくれました。今自分が座っている窓際の席もそれぞれ、常連さんの間でお気に入りがあったらしく、背もたれに当たる部分の板は塗装が剥げていました。板張りの椅子は昔は畳敷だったそうで、造船所の人たちは作業服の油で汚れるからと、新聞紙を敷いて座っていたのだとか。「汚れても構わなかったのになあ」と言いながら、気を遣っていたお客さんのことを話してくれました。
 喫茶店を始めた頃は20代で、それから50年以上が経ったけれど、今思うとあっという間だったと、お2人は昔の思い出を神戸弁で、時には冗談を交えつつ話してくれました。

 「エデン」と「思いつき」、この2軒の店に共通していたのは、内装が船大工の設計ということと、地域の人に愛されながらも、初めての人間でも分け隔てなく迎え入れる懐の広さでした。b0158023_21152871.jpg
神戸市兵庫区西出町
コーヒー 310円
お昼過ぎ2~3時までの営業とのことでした。
*神戸の昔の面影を切り画とともに紹介するコラム(正確なタイトルは忘れました)。2010年10月か11月頃の掲載だったと思います。
**柴田真督 著「神戸ぶらり下町グルメⅡ」神戸新聞総合出版センター、2007年。
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by matsutakekissa | 2011-11-30 08:25 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)
 ある夏の終わりに、三重県桑名市を旅行し、そのついでに養老公園内にある「養老天命反転地」を訪れました。桑名駅から養老鉄道に乗り込み、養老駅に到着すると真っ先に目についたのは「乗って守ろう養老鉄道」の大きな垂れ幕でした。ここも廃線の危機なのでしょうか。
 養老天命反転地へは、駅から歩いて10数分でした。その名前を知った最初は、何かの宗教関連施設かと思ったのですが、実際のところは屋外体験型現代アートの公園でした。パンフレットにある「もののあわれ変容器」、「極限で似るものの家」など、いわくありげな名前に心ひかれましたが、面白い形の造形物は、そこに近づいてみるだけなのに、意外と骨が折れます。その日が猛暑日だったこともありますが、足元が悪いので、うっかりすると転んでしまいます。元々の趣旨として、起伏や斜面をつくり歩きづらくしてそれを体感することでバランス感覚や方向感覚、知覚などを養う目的があるらしいのですが、開業から10年以上も経過すると、木々が大きく成長してしまい、さらにハードさを増しているようです。

 さて、養老駅構内には土産物屋兼喫茶店がありました。入り口ドアの木枠にはガラスがはめ込まれ、「千歳」と書かれており、その上には回転灯がついていました。回転灯は、中京地域を中心とした西日本の喫茶店ではよくみかけます。
 壁に貼られたプレートを見ると、この店は養老の滝近くの旅館「千歳楼」が経営しているようです(後でサイトを調べてみると、千歳楼(せんざいろう)は江戸・宝暦の創業250年の老舗旅館でした)。御品書きに養老サイダーとあったので、入ってみることにしました。
 駅にも周辺にも観光客の姿はほとんどみかけません。みな、車で訪れるのだろうか。店内の窓からは駅のホームにある、藤棚のようにあつらえた「ひょうたん棚」がありました。
歩き疲れた身体にはこのサイダーと、開け放した窓から吹いてくる風が、ありがたく感じられました。

 ずっと店に居続けるのも退屈だったので、駅の待合室で電車を待つことにしました。その数十分の間には意外にもさまざまな人間模様がありました。長距離サイクリングの最中で、道を聞きにきた若い男の子たち、本日泊まれる宿があるかどうかを聞きにきた若い2人連れ。 応対するのは、喫茶店のおかみさんと、たまたま居合わせたご近所のお母さんでした。
 自力で調べるのもいいけれど、だれかに尋ねることで、地元の人とコミュニケーションがとれ、また旅の思い出が増えるのだろうな。なんだかほのぼのとする光景でした。
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千歳
岐阜県養老郡養老町

養老サイダー 320円
ホットコーヒー 320円
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by matsutakekissa | 2011-09-16 21:40 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

 今更告白するほどのことでもありませんが、実家は石川県にあります。でもここは、故郷と呼べるほどの思い出が少ないのです。盆暮れの帰省を指折り数え、旧友との再会を心待ちにし、郷土の風土や名産品を自慢できるほど、思い入れがないのがちょっとかなしい。

 昨秋、葬儀に参列するため、久しぶりに父の故郷を訪れました。以前訪れた時も寂れた風景でしたが、駅前にあった小松製作所が取り壊されたせいか、ますますさびしい雰囲気を感じました。

 父の実家は既に売り払われてしまったので、ここに来る理由はますます少なくなりました。幼い頃は連休のたびに祖父母に会いに訪れたものですが、家庭の事情により、この20年ほどは2、3回ほどしか小松を訪れていません。そのことを考えると、いつも気が重くなります。
 帰省の時はいつも実家に直行していたため、小松駅周辺を歩くことはほとんどありません。ほとんどシャッター商店街と化した薄暗いアーケードを歩いていると、その先に明かりが見えました。

 光っていたのは喫茶店の名前が書かれた電光看板でした。車1台が駐車できそうなスペースの奥に、店の入口があります。木枠のドアから覗いた店内は、だいぶ年代が経っていそうなつくりをしていました。小松駅前にこんな店があったのか…。
 本日一番の客だったらしく、店内は暖房が効いていませんでした。天井の梁や仕切り板の木目は深いこげ茶色で、店の雰囲気は重厚でやや薄暗く感じます。ただ、窓の外が中庭になっており、淡い朝の光が差し込んできていました。
 店の壁のあちこちには絵画が掛けられています。店の隣からキャンバスがいくつものぞいて見えるので、どなたか、画を描いている方がいらっしゃるのでしょうか。店の壁のあちこちにも絵画が飾ってあります。
 「今朝は寒いですね」とお店の方がストーブを点けてくれました。しばらくして常連客が訪れると、店のおばさんの喋り方はなまりのある言葉に変わりました。かつて耳にしたことのあるなじみのある音のはずなのに、まるで異邦人になってしまったかのよう。懐かしさと疎外感が入り混じった気持ちで店をあとにしました。
 
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コーヒー 350円
石川県小松市
朝8時半頃から営業 定休は不明
※店の入り口に「ノスタルジー」カフェだか、喫茶だかのポスターが貼られていました。近年、地元のコミュニティ誌かラジオなどで紹介されたでしょうか?
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by matsutakekissa | 2011-05-18 12:53 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)

喫茶店と訪れた街の印象を書いています。


by matsutakekissa