マツタケ喫茶店とは(その二)

 そして、もう一言。 
 近年巷の雑誌やネットやテレビで取り上げられる、「レトロ」、「純喫茶」、「昭和」という枕詞に続く形容詞、「まるで時が止まったような」、「変わらない」、「落ち着いた」。そのどれもが嫌いです。褒め言葉が褒め言葉になってないような。
 喫茶店は、その多くがグルメ店ではないと思います。あってもなくてもいいような、悪く言えば駄菓子のような存在というか。都心で創業30年以上の喫茶店が内装を変えず、現在も営まれているのは、確かに珍しいし、希少価値は高いけど、古けりゃ何でもいいってもんではないでしょう。
 いい喫茶店というのは人それぞれで違うけれど、誰かの生活の一部になり、空気にお金を払っているような場所だと考えています。
 じゃあ、自分はなぜ古い喫茶店にこだわるのか。 
 それは街や人の雰囲気を、とても簡単に感じられる場所だから。知らない街でも知っている街でも、喫茶店に入れば何となく街や人の雰囲気が持ち込まれたような気持ちになります。店の人の客あしらいや世間のニュースに詳しい常連さんとの会話、一つひとつに個性があって、新鮮な驚きや刺激を与えてくれます。ハコも面白いけど、やっぱり一番面白いのは喫茶店の人間観察に尽きると思うのです。
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# by matsutakekissa | 2008-08-01 21:56 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

マツタケ喫茶店とは(その一)

 今更ながら、ブログタイトルのいきさつです。
 マツタケって、自分は採ったこともないけれど、もし生えているとすれば、
 ・意外と目に付かないところ
 ・一本見つけたら、近くにもう一本見つかる
 ・ある一定の条件(環境など)生えているエリアが決まっている
こんな処かと想像しました。で、それは古くからある喫茶店の立地条件に何となく近いような気がしました。都心では特に、喫茶店の多い地域を歩き始めると、沿線や駅周辺というカテゴリーで括られることができないのが実感できます。たとえば築地から新橋、日本橋を歩いてみると、喫茶店があちこちに点在して一つの大きな山脈を築いているように思えます。
 もう一つは、喫茶店の持つ、妖しい雰囲気。純喫茶なんていうのは、風俗系の喫茶店と一線を画すための呼称だったと言われますが、やっぱり元々喫茶店は妖しいお店も相当多かったわけで、その名残りみたいなものをキノコの王様である、マツタケに託しました。
 蛇足ですが、マツタケは「発見」するのではなく、元々そこにあったものなので、コロンブス君的コレクターにはならず、常連にもならず、コーヒーと店の雰囲気を味わうような記録集にしたいと思います。
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# by matsutakekissa | 2008-08-01 21:38 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

シルクロード

 浅草はビューホテルの裏側、飲み屋と住宅街が入り混じるエリアで、ラインダンスの画が描かれた喫茶店がありました。SKD(松竹歌劇団)のスターがひいきにしていたお店、というのがウリらしく、店内にもお店のマスターと奥さん宛に出した手紙やハガキが貼ってあります。ではSKDファンが集う店かと思いきや、ランチ目当てに通う地元の常連さんでにぎわっているお店でした。
 常連のおばさんに話しかけられ、適当に相槌を打っているとおばさんのパート先の労働条件がいかに酷いか、という話をえんえんと聞くことになりました。誰彼構わず知らない人間にも話題を振ってくるようなお客がいて、店のほうでも邪険にしないのが、まるで寅さんの映画を見ているようでもありました。

コーヒー 450円
台東区西浅草3丁目
日曜 休
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# by matsutakekissa | 2008-08-01 12:57 | 台東区山 | Trackback | Comments(2)  

バイオレット

まるで、都会の片隅に咲く一輪の花のように可憐な店名の喫茶店は、新橋の路地にありました。
 朝が遅いらしくなかなか訪れる機会がなかったのですが、ある日時間の都合をつけて尋ねると、おばさんが一人でやっているお店でした。店内は外から見えず薄暗い感じでしたが、おばさんは明るい方でした。NHKニュースに茶々を入れたり、「うちはスポーツ紙取ってないけど、普通のでよかったら見る?」とか、世話を焼いてくれ、休日にお店の前を通って入ろうと思ってきた、と告げると、「やだ~、恥ずかしい」といわれました。お店はおばさんのお父さんの代からやっているそうです(昭和36年とか)。
 そこへ近所のおばあちゃんが来店。何かおばさんに渡すものがあったようです。足を痛めていておばさんに、病院行ってきたらと言われるも、「行きたくないよ」と顔をしかめて出て行きました。「心配なのよね。本人は病院に行ったら足以外にも悪いところをいろいろ言われるんじゃないかと不安なのよね」とおばさん。
 オフィス街と変貌を遂げた新橋で、貴重なご近所づきあいの一幕を垣間見てきました。

コーヒー 450円
港区新橋1丁目
朝10時過ぎ?~夕方6時頃 土日祝 休
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# by matsutakekissa | 2008-07-30 21:48 | 港区山 | Trackback | Comments(0)  

スメル

 浅草橋近辺は居酒屋が多く、高架下あたりは雑多な雰囲気が漂っています。南には住宅街がある一方、北には繊維街が続き、オフィスも多く、独特の構成です。
 駅前にあった喫茶店「SMELL」の看板を見て、思わず「なんじゃこりゃ」という違和感を感じました。意味は「におい」ですが、確か高校時代の英語の授業では、「匂い」ではなく「臭い」のほうだと教わったような。それに、コーヒーの香りなら、「アロマ」を使うべきだろうに。
 しかし、そんなへりくつ言わなくても、この店の外観、特に入り口のガラス戸に浮かぶコーヒーカップのシルエット、Smellという店のロゴは、「何だか入らずにおれないにおい」をかもし出しています。
 扉を開けると、土砂降りの雨の朝にもかかわらず、出社前のひと時を楽しむサラリーマンでいっぱいでした。カウンターでモーニングを注文すると、おばちゃんがドン、ドンと砂糖入れや塩のビンを置いていきます。おじちゃんもいて、お二人は夫婦のようでしたが、おじちゃんはおばちゃんに何か小言を言われております。
 サラリーマンの集団が帰るのに合わせ、自分も帰ろうとしたら、おばちゃんが集団に向かい「傘、間違えないでね」。すると一人が「みんな会社が同じだから間違えたって大丈夫だよ」。なんと。業務時間外でしかも朝からみなさんご一緒とは、本当に仲がいいんですね。

モーニング 400円(トースト、卵付)
台東区浅草橋4丁目
朝7時頃?~夕方5時か6時頃 土日祝 休
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# by matsutakekissa | 2008-07-30 12:45 | 台東区山 | Trackback | Comments(0)