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駅構内の喫茶店(岐阜・養老)

 ある夏の終わりに、三重県桑名市を旅行し、そのついでに養老公園内にある「養老天命反転地」を訪れました。桑名駅から養老鉄道に乗り込み、養老駅に到着すると真っ先に目についたのは「乗って守ろう養老鉄道」の大きな垂れ幕でした。ここも廃線の危機なのでしょうか。
 養老天命反転地へは、駅から歩いて10数分でした。その名前を知った最初は、何かの宗教関連施設かと思ったのですが、実際のところは屋外体験型現代アートの公園でした。パンフレットにある「もののあわれ変容器」、「極限で似るものの家」など、いわくありげな名前に心ひかれましたが、面白い形の造形物は、そこに近づいてみるだけなのに、意外と骨が折れます。その日が猛暑日だったこともありますが、足元が悪いので、うっかりすると転んでしまいます。元々の趣旨として、起伏や斜面をつくり歩きづらくしてそれを体感することでバランス感覚や方向感覚、知覚などを養う目的があるらしいのですが、開業から10年以上も経過すると、木々が大きく成長してしまい、さらにハードさを増しているようです。

 さて、養老駅構内には土産物屋兼喫茶店がありました。入り口ドアの木枠にはガラスがはめ込まれ、「千歳」と書かれており、その上には回転灯がついていました。回転灯は、中京地域を中心とした西日本の喫茶店ではよくみかけます。
 壁に貼られたプレートを見ると、この店は養老の滝近くの旅館「千歳楼」が経営しているようです(後でサイトを調べてみると、千歳楼(せんざいろう)は江戸・宝暦の創業250年の老舗旅館でした)。御品書きに養老サイダーとあったので、入ってみることにしました。
 駅にも周辺にも観光客の姿はほとんどみかけません。みな、車で訪れるのだろうか。店内の窓からは駅のホームにある、藤棚のようにあつらえた「ひょうたん棚」がありました。
歩き疲れた身体にはこのサイダーと、開け放した窓から吹いてくる風が、ありがたく感じられました。

 ずっと店に居続けるのも退屈だったので、駅の待合室で電車を待つことにしました。その数十分の間には意外にもさまざまな人間模様がありました。長距離サイクリングの最中で、道を聞きにきた若い男の子たち、本日泊まれる宿があるかどうかを聞きにきた若い2人連れ。 応対するのは、喫茶店のおかみさんと、たまたま居合わせたご近所のお母さんでした。
 自力で調べるのもいいけれど、だれかに尋ねることで、地元の人とコミュニケーションがとれ、また旅の思い出が増えるのだろうな。なんだかほのぼのとする光景でした。
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千歳
岐阜県養老郡養老町

養老サイダー 320円
ホットコーヒー 320円
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# by matsutakekissa | 2011-09-16 21:40 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)  

ハルキ

 9月に入り、ようやく猛暑もおさまってきました。晴れの日でも吹く風は涼しく、秋を感じさせます。こんな時、思い出すのは、赤羽駅前の「梅の木」という喫茶店です。過ごしやすい時期になると、いつのまにか「コーヒーのおいしい季節になりました」という貼紙が貼られていて、通りかかるとつい、コーヒーが飲みたくなってしまいます。
 さて、枕はこれくらいで本題に入らなければ。

 五反野の商店街は駅を挟んで南北に商店街が続いています。この商店街は個人商店もまだまだあるため、三味線、傘と履物の店など、思わず入りたくなるような店構えを見るだけでも楽しいのです。
 駅から続く商店街を北方面へ歩き、六叉路交差点を越え環七方面に20分ほどバス通りを歩いたところに、一軒家の喫茶店があります。外観はごく普通の喫茶店という感じなのですが、店内に入ると、壁一面に貼られた昔のアメリカ映画のポスターやレコードジャケットに目をうばわれてしまいました。
 渋谷、新宿などの繁華街にあるヤング向けの飲食店、ファッション用品店ならあっても似たようなインテリアもあるでしょうが、これが郊外の店だと印象深く感じます。

 看板には「珈琲の店」とありますが、カレー、スパゲティにBLTサンドもある軽食の店でした。コーヒーを注文すると、分厚く白いマグカップに、アメリカンコーヒーが出てきます。

 店内にはマンガも揃っていたので、途中巻まで読みかけの「20世紀少年」を選びました。このマンガの独特の世界である、日本の60年代と現代(パラレルワールドと言い切って良いかわからないが)を行き来するような感覚が独特の持ち味なのですが、それと店の雰囲気、BGMのオールディーズ・ソングによって、時空を越えているかのような不思議な気持ちになりました。

 店内に飾られていたもので印象深かったもののひとつに、ローレルアンドハーディのイラストの看板がありました。お店の方にお伺いしたところ、看板は購入したものだが、ポスターなどは映画館から譲り受けたものが多いそうです。
 合わせて気になっていたカウンター脇、天井近くに貼った紙にある「Music, Martinis, and Memories」の文字の由来を聞いてみたら、「あぁ、あれは通風孔をふさぐためにつけただけ」とのこと。あんまり語呂のよい文句だったので、ネット検索してみたところ、こちらはJackie Gleasonという方のアルバム・タイトルだということがわかりました。なるほど、勉強になりました。
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ハルキ
足立区青井5丁目
ブレンドコーヒー 380円
朝9時~5時 日曜 定休
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# by matsutakekissa | 2011-09-08 21:40 | 一本マツ | Trackback | Comments(0)  

バイオレットへの再訪

 さまざまなタイプの喫茶店があれば、そこに通うお客もまたさまざまであるように、喫茶店が好きで、そこへ行くことが目的である人たちの喫茶店への「愛のかたち」もまた、人それぞれです。
 何かのフアンという人たちは、それぞれの主義主張があるものですが、それぞれの流儀で楽しめばよいものだし、そのスタイルについて言及したり、意見を言ったりする必要もないと思っています。
 しかし最近になって、喫茶店好きのねこ太郎さんのブログ「お茶飲む日々」を読んで、思わず行動に出てしまいました。つまり、同じ趣味の方のブログについて、いろいろ意見を言っちゃうことです。
 なぜそのような行動に出てしまったかというと、ねこ太郎さんと自分の間には、ブログで喫茶店をどう紹介するかということで、一部共通の思いがあるように感じられたからです。
 いち個人がブログで飲食店情報を公開することは、場合によっては良い面も悪い面もあるかと、自分は考えていますが、ねこ太郎さんはいろいろ考えたうえで自分なりの結論を出しておられます。自分の解釈にずれがあるといけないので、詳しくはブログお茶飲む日々をご参照ください。また、読んでいて楽しさが伝わってくるような内容であることにも、興味をひかれました。
 読んだ勢いそのままにコメントを送ってしまったのですが、ねこ太郎さんからは丁寧なご返信をいただきました。ありがとうございました。自分も独りよがりにならず、広い視点をもって、楽しくブログを書いていけたらと思うこのごろです。

 前置きが長くなりました。ねこ太郎さんのブログを読んで、久しぶりにご店主に会いたくなり、新橋の「バイオレット」を再訪しました。
 平日のみの営業のため、自分にとっては訪れるのが難しいのですが、仕事のお盆休みを活用することにしました。

 お店もお休みに入っているかな、と思いましたが、ビルとビルの隙間には、店の電燈看板が出ていました。
 「父の代から始めて今年でもう50年よ。昔からの常連さんが通りかかって「まだやってたの?と驚いているわ」とママさん。店の開業は東京オリンピックの3年前(昭和36年)とお聞きしたことを思い出しました。暗算してみると、ぴったり50年。昭和30年代というのは、もうそんなに過去の時代になったのか。
 前にもお聞きしたのを忘れて、カウンターに掛っているSLの飾り物について同じ質問をしてしまいました。
「あれ、面白いですね」というと、「これ、物入れなのよ」と、ぱかりと蓋を開けてくれました。
「昔、三越で買ったのよ。新橋といえば蒸気機関だと思ったの」
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 若いお客さんはあまり来ないが、近ごろは、「TVでみました」と言って来てくれる若い人も時々来る、と仰ったので、よくお話をうかがってみると、「インターネット」のことでした。そうやって訪れる人には、わざわざ来てくれてありがとうと言っているそうです。自分のような女性客がひとりで来ることもあれば、若い男性のグループが訪れたこともあったそうです。
「『大した店じゃないでしょ』と言ったんだけどね」、とママさん。
 4年前に初めて訪れた時のことを思い出しました。「古い喫茶店が好きで、前から何度も店の前を通りかかっては気になっていた」と言うと、「やだ、恥ずかしい。この辺詳しいの?どこに住んでるの?」と、かなりつっこまれてしまったのですが、今ではそういった目的のお客も珍しくないらしく、お陰さまで前より気安い感じでおしゃべりができました。

 また、ねこ太郎さんのブログでも触れられていますが、雑誌取材の掲載記事を見せていただきました。普通の記事かと思ったらママさんの詳細なプロフィールが掲載され、ご本人を前にして読むのは、かなり気恥ずかしい。
 ただ、ママさんにとって恥ずかしいのは年齢がばっちり書かれていることなんだそうですが、「年齢を書くことで意味があるのだろうから仕方ないわねえ」とのことでした。銀座っ子ということを知って、私はただ驚くばかりでした。
 銀座っ子だとわかってからも、特に昔の東京のことなどはお聞きすることなく、世間話で楽しく盛り上がりました。おしゃべりが終わるころには、何とも言えない満ち足りた気分で、店をあとにしました。

 今思い出してみると、会話のなかに「昔は早番と遅番の2人を雇い夜まで営業、高校野球の中継があるとテレビを観に来る人で賑わった店も、今はすっかり静かになってしまった」という言葉がありました。
 古い喫茶店を訪ねていると、時々、喫茶店の全盛期に生まれてみたかったと思うこともあります。しかし、その時代であれば、店の前に足を止めていただろうか。そして、こんなふうに店の方とゆっくりお話ができていただろうか、と考えました。
 いつの時代が良かったとか悪かったとか、知らない過去の時代について思いを馳せるばかりなく、今の時代に生まれたという意識も持たなければ、と思いました。

バイオレット
港区新橋1丁目
朝10時頃~夕方6時頃
土日祝 休
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# by matsutakekissa | 2011-08-31 23:50 | 港区山 | Trackback | Comments(2)  

純喫茶パールのロケと動画(ウェブムービー)の公開について

 以前当ブログで紹介いたしました、広島の「純喫茶パール」がロケ地として使用されているウェブムービーについて報告します。
 マツダ自動車のスペシャルサイト「SKYACTIV TECHNOLOGY」内では、新型エンジン開発に至る経緯を開発責任者のインタビューを動画で紹介しています。
 動画の内容をより印象づけるため、インタビューと並行して、子どもを主人公にしたストーリーが挿入され、広島市内の風景(広電とその車窓風景、原爆ドームなど)とともに「純喫茶パール」の店内も登場します。
 この動画を見るまですっかり忘れていたのですが、店内の奥に設置された何台ものテレビをうまく演出効果として取り入れていたのが面白かったです。
 動画の公開は確か7月下旬頃からでした。お店の方のお話では、「4月20日から」とお伺いしましたが、震災によるスケジュールの変更があったためか、当初の予定よりも遅れたもようです。
 何はともあれ、楽しみに待っていた動画が公開され、個人的にはうれしいです。

マツダ自動車スペシャルサイト「SKYACTIV TECHNOLOGY」
マツダ自動車のスペシャルサイト「SKYACTIV TECHNOLOGY」内の動画集「HEART OF MAZDA」Episode 1「エンジニアロマン」にて。
※リンク先はマツダ自動車公式サイトトップページです。
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# by matsutakekissa | 2011-08-14 23:24 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

ミロン

 鍋屋横丁という面白そうな名前の商店街があることを知り、中野富士見町まで行きました。昔の記録映像によると、以前この辺りには都電が走っていたそうです。かつて栄えていた頃の名残がみられるかもしれない、と期待していたのですが、やや規模の大きいアーケード商店街である以外は、普通の商店が軒を連ねていました。その商店街に行く途中のバス通り沿いに、古めかしい外観の喫茶店がありました。
 入り口は幅が狭いのですが、奥に進むにつれ奥行きがあり、4人掛けテーブルやゲーム台もあります。
 つくりつけらしき棚には、マンガ本がぎっしり。背表紙のタイトルを見たところ、15年前後のものが多いように思われました。

 店主のおばあさんは接客がとても丁寧で、何か運んで持ってくる時など、わざわざ一礼してからテーブルに皿を置いて「ごゆっくりどうぞ」とおっしゃいます。
 かなり安かったので、自分にしてはめずらしくオレンジジュースを注文してしまいました。まるい窪みのあるもようの付いたどっしりとしたガラスのコップに、久しぶりに出会ったので、つい指でなぞってしまいます。
 ジュースはやっぱり果汁100%というわけにはいかず、ほんのりと人工的甘味料の味がして、子どもの頃に食べたお子様ランチに付いてきたジュースの味でした。軽食もドリンクも他の店と比べると安いし、マンガ本もあるし、いい意味で客をほったらかしてくれる雰囲気がなんだか落ち着きました。

 お店は創業40年近くになるそうで、「こんなつくりの店、今ではなかなかないでしょう」とさらっと言って笑っておられました。
中野区本町6
コーヒー 300円

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# by matsutakekissa | 2011-08-06 11:46 | 一本マツ | Trackback | Comments(0)