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ひるとよるの喫茶店

 三ノ輪駅近くの、昭和通りと国際通りの交差点には、通りを挟んで対照的な喫茶店が2軒あります。一方が昼さがりの茶のみ話風な店なら、もう片方は1日の終わりをゆったり過ごすようなスナック風内装の店でした。

 昼型の店の名は「クロス」。店は国際通り沿い、昭和通りとの交差点の前にあって、陸橋に隠れてしまっています。窓に貼られたイラストは、カップルがテーブルを挟んで向かいに座るシルエットです。
 ビル1階にある店への入口は奥まっていてマンション廊下内にあるため、道案内代わりにペンキで塗った足跡がついています。
 駅そばだからか、打ち合わせの客や常連客で店内はほぼ満席。店内の壁にはお品書きの短冊がずらりと貼られていて、定食や甘味まで揃っているのが意外でした。それと対照的なのが道路に面した窓に貼られた英語でcoffeeとかmorning setなどのメニュー。こっちは近隣に住む外国人へのPRでしょうか。
 店を切り盛りするのは白髪のマダムでしたが、そろりと店に入ってしまったことでしばらく気づかず、お客の目が自分に注目したところで、「あっ、すみませんね」と、お水を持ってきました。
 マダムと同世代か少し上くらいのおばあさんがしきりに愚痴をこぼしていて、話にずっと付き合わされているようでした。家の者がみんな、自分の言うことを聞いてくれない、特に嫁がひどい、と言っています。身内に相談相手のいないおばあさんはさみしそうでした。

コーヒー 370円 モーニング 450円
朝8時半~夕方6時半くらい?
台東区三ノ輪1丁目
日曜休み



 夜の喫茶店「ライフ」は昭和通り沿い「クロス」とはほぼ斜め向かいの立地です。窓ガラスの文字にはcoffee & pubとありますが、現在は夜のスナック営業をやめてしまい、夜8時まえには閉店しているようです。
 ドアや窓ガラスは色つきの加工が施されており、中の様子がよくわかりませんが、奥行きは意外と広く、大手写真週刊誌やスポーツ新聞が揃っています。窓の光が届かない奥に行けば行くほど照明が暗くなり、スナック色が濃くなるようです。
 丈の短めの黒いスカートを履いた店のママもやっぱりスナック風でしたが、淹れてくれたコーヒーはなかなか濃くておいしいものでした。ママは少し手があくと常連客と競馬談義していて、ほおっておかれるタイプの店でした。

コーヒー 380円 モーニングセット 450円
台東区三ノ輪1丁目
日曜は不定休のようです
※「ライフ」は2011年9月30日で閉店したとの張り紙がありました。【2011.10月】
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by matsutakekissa | 2010-02-26 12:58 | 台東区山 | Trackback | Comments(0)  

喫茶 キムラ 神田

 久しぶりに店の前を通ったら、看板がなくてびっくりしました。昨年末で閉店してしまったのかな・・・。大通り沿いにあるビルの2階の店は、前を通るたびになんとなく看板をみてしまい、道標のような位置づけをしていました。せっかくなので、記憶を記録しておこうかと思います。

 開店はやや遅く、夜は早く閉まり、土日祝日はお休みの店だったので、なかなか訪れる機会もありませんでした。デフォルメされた人物が階段を登っていく姿の看板は、ピクトグラムのように、店の入口を指し示していました。

 なかなか開店時にいけなかったので、「あー、この人(看板)みたく、入っていきたいな・・・」とバカなことを考えたりもしました。

 期待ばかりがふくらんでしまい、ようやく訪れた時の印象は思ったほどではありませんでした(これを「期待しすぎ病」といいます)。コーヒーを注文すると、名古屋式に柿ピーがついてきたのをめずらしく感じました。

 すぐ近くで道路工事をしているらしき作業服姿のお兄さん方も、現場近くのこの店が気に入っているらしく、仲間と楽しそうに談笑していました。これも珍しい光景のように感じました。当時は真夏日だったので、単純に涼みに訪れたのが一番の目的だったかもしれませんが。
 店員のバイトらしきお姉さんは、仕事明けにバーゲンセールに行くのだとマスターに話しかけていました。「早く行かないといいのが売れちゃうよ」といわれ、早上がりを勧められているようでした。

 今、こうして思い出しながら書いていると、店の記憶が幻のように、ますます遠のいてしまいそうです。さみしいねぇ。

千代田区神田須田町
※2009年12月ごろ閉店?
 
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by matsutakekissa | 2010-02-24 12:57 | 枯れマツタケ | Trackback | Comments(0)  

喫茶 ゼロ 板橋本町

 中山道と環七の交差点から、中山道沿いへ歩くこと5分強。イナリ通り商店街の入口のアーチが見えてきます。住宅街の中にある小さな商店街ですがチェーン店やコンビニはなく、昔からの店舗が現在も引き継がれている印象を受けます。パン屋や洋食・中華ごちゃまぜのレストラン・・・。どれもレトロな外観でした。
 小さな商店街なのに、なぜか喫茶店は3軒もあり、意外でした。商店街入口にある「ゼロ」は、窓によしずが張られた、少し不思議な外観です。
 カウンターのみの小さな店内には、常連客が3名集っていました。改装済みなのか、外観よりずっと新しい内装でしたが、常連客と店のママさんとの会話には、時間をかけて築かれた信頼関係による会話が成り立っていて、遠慮会釈なしのストレートな言葉が飛び交っていました。ドラえもん(大山のぶ代のほう)声のママさんは、ボケ役担当で、お客のひとりのツッコミ担当から、いろいろと口撃されていました。
 ペーパードリップで丁寧に淹れてくれたコーヒーは、濃い味で、カップにたっぷり入っています。砂糖とミルクはセルフ式で、カウンターに置かれていました。
 常連客が去った後、店の営業時間について聞いてみると、どうやらかなり早い時間に閉めてしまうようです。以前はマスター(ママのご主人でしょうか)がコーヒーを淹れていたそうですが、体調を崩したため、バトンタッチで営業しているとのこと。営業時間も少しアバウトらしいのですが、店の前を通り過ぎるときはいつも数名のお客がいます。立地上、一見客がふらりと入る店ではないので、本当に常連客に愛されているお店だなあと思いました。
 

コーヒー 380円 モーニングセット 550円
板橋区宮本町
※午後3時すぎで閉めてしまうそうです。日曜もときどき営業しているようです。また、不定休も多いようです。



 
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by matsutakekissa | 2010-02-22 12:53 | 板橋区山 | Trackback | Comments(0)  

喫茶 シェルフ 国分寺

 少し前に、国分寺の名曲喫茶「でんえん」を訪れました。本当はここに書くべきことではないのかも。ただ、話の流れ上、欠かせない内容でもあるので、載せることにしました。

 休日の夕方の店内はすごく混んでおり、やっと空いていた1席に座れました。年季の入った壁の色を見て、古いお店なんだなあと実感がわきましたが、店内は少しざわついて、全体的に浮き足立った雰囲気がありました。
 周囲の人を見てみると、みな自分と同じ、初来店か2、3度来ただけの様子で、常連然とした人は少なそう。そんな色眼鏡でみれば、どことなく世間話をする人も、できるだけ重要ではない会話を必死で続けているように感じられたし、文庫本を読む人も、一生懸命集中して雰囲気に溶け込もうとしているように思われました。そういう人たちのオーラでこの店は埋め尽くされているようです。
 後から入ってきたご老人は、入れ違いで空いた席に座り、「あぁ、この席が一番いい場所なんだよ」といいました。そうか、場所なのね。その一言が、客全員の気持ちを代弁しているかのようでした。落ち着かなくて、コーヒーを飲んですぐに店を後にしました。付き合ってくれたうちの人には悪いことをしました。

 店を出てぼんやり駅に向かう途中、コーヒーの看板に気が付きました。雑居ビル2階にある店を目指して上がっていくと、まだ営業中でした。
 小さな店内には大きな液晶TVとカラオケ設備があり、夜はカラオケ居酒屋になるようです。店のママからも、「(居酒屋になるので)あんまり時間がありませんけど」と言われましたが、気どらない雰囲気がさきほどの店とは対照的で、飲みなおしにはうってつけ。
 店の壁には演歌歌手のポスターが貼られ、酉の市の熊手も飾ってあり、スナック風の店内でした。疑似ステンドガラスだけが、唯一喫茶店らしい雰囲気を残しています。
 豆から挽いておとしてくれたコーヒーは、意外なことに、ものすごく大きなコーヒーカップに入っていました。丼くらいはありますが、中身は普通の量です。パーティーの余興みたいで、突っ込んでくれ、といわんばかり。いや、きっと何か深い意味があるに違いない。
 「大きなカップですねえ」と話しかけたら、「お待たせしてすみませんでした」。さらりと返されてしまいました。

コーヒー 400円
東京都国分寺市本町2丁目
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by matsutakekissa | 2010-02-18 23:10 | 一本マツ | Trackback | Comments(0)  

 昨年末、鎌倉を訪れました。どの週末に訪れても混んでいる観光地。年始は初詣でとてつもなく混むだろうし、年末あたりが空いていないかなと思ったのですが、その期待は裏切られました。
 朝9時すぎ。すでに小町通りは人通りが多くなりつつあります。イワタコーヒーの前には開店待ちの人の列20名くらい。空いていれば入ってみたかったけれど。「10時開店です」の貼り紙をみて、「パチンコ屋じゃあるまいし」と、思わずぐちってしまいます。
 鶴岡八幡宮では、宮司もテキ屋も初詣の準備に追われていました。時折、「ゲコゲコゲコ!」と大きな声で鳴きながら木の幹を走るのは台湾リス。ふわふわした灰色しっぽはかわいらしいですが、近年は増えすぎて被害をもたらす厄介ものなのだそうです。

 人気のないところを目指して、まずは妙本寺、続いて鎌倉宮に向かいました。自然の多い鎌倉の街並みを歩いていると、せかせかした気分も落ち着いてきます。地元の人は道で出会うと口々に「今年はお世話になりました、来年もよろしく」と年末の挨拶を交わしていました。都内ではあまり見かけなくなった光景にほっとするものを感じました。
 鎌倉宮のそばには、すでに故人となった身内の者がお気に入りだった喫茶店が2軒あると聞いていました。「茜草屋」は完全に店仕舞いしていましたが、もう1軒は微妙な感じ。店の方が店内に入っていくのを見て、声を掛けました。すると、「コーヒーでよろしければ」とOKが出ました。
 大きな木の板が壁に貼りこまれた、どっしりとしたつくりの内装は、外観のコンクリートの白壁からは想像もつかなくて、驚きました。
 無理を言って入店したことに今更ながら恐縮していると、「たくさんいただいたの。よかったら手伝って」と、ガトー・ラスクをいただきました。その後お正月用の花を生ける準備なのか、花鋏を使う、ぱちん、ぱちんという音が聞こえてきました。
 その人はここで軽食を食べるのがお決まりだったそうで。壁には筆で書かれた「お志るこ」のメニューがぐるりと張り巡らされていました。次に来るのはいつになるかわからないけれど、今度の時はコーヒー以外も試してみたいと思いました。

コーヒー 350円
鎌倉市二階堂
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by matsutakekissa | 2010-02-18 23:02 | 旅編(東京都以外) | Trackback | Comments(0)  

ウール

 通りを歩いていた時、ふと目にした看板に思わず声をあげそうになりました。場所は清杉通り。時間は平日の朝8時。向かいのビルのすき間に見えるのは、「コーヒーハウス ウール」という看板。近づいてみると店はお休みか準備中のようで、シャッターが降りていました。
 平日の朝からやっていない、ということは、通常生活の範囲内で訪れるのは厳しいかと思っていたところ、ある日の土曜日に店を開けているのを目にしました。通常の窓ガラスの代わりにガラスブロックを使用しているのが少し変わっています。そして看板にも色あせたひさしにもガラス製のドアにも、店の名前とおなじウールマークが入っていました。
 店内には文字はめ込み式のメニュー表もありますが、1点ずつ写真を撮って引き伸ばしたメニューが店の外に向けられて貼られています。しかし、トーストやホットケーキの食事メニューはともかく、コーラとかミルクを器に入れた写真のアップ、って必要なのかなあ。一目瞭然でわかりやすいのですが。
 店内にはマンガがぎっしりつまった棚があり、仕事の合間の休憩にちょうどよさそうです。棚の端に挟まっていた、少し古めの本を手に取りました。食品の安全を問うかなり過激な論調に、思わず真剣に読んでしまいました。

コーヒー 330円 モーニングセット 380円
中央区東日本橋3丁目
朝9時~夜8時 日曜 休み
※お店のホームページがありました。ほとんど更新されていないもようです。店内にも説明の用紙が貼られていましたが、珈琲豆はオールドビーンズを使用と書かれています。他店のコーヒーより心なしか濃い味がして、深い味わい。これでたった330円というのはサービス価格と思います。
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by matsutakekissa | 2010-02-17 22:17 | 中央区山 | Trackback | Comments(0)  

戦後のたてものマニア

 ファンも多いことだし、いつか再発行されるのでは、とひそかに期待していた彰国社の『建築写真文庫』が、2009年末、再編集版として発売されました(『Showa Style―再編 建築写真文庫<商業施設>』、都築響一 編、彰国社、2009年)。
 四六判ながら4,5センチほどの厚みのある、ずっしりとした重さの本で、定価5,250円。昨年末から書店には並んでいたものの、懐具合が厳しくて、このたびようやく手に入れました。

 『建築写真文庫』は元々建築に携わる専門家のための資料として発行されました。その内容は商店建築、遊戯施設、ファサードの意匠、商店看板、学校などの公共施設や一般家庭、庭、池、プレファブ住宅に至るまで、ありとあらゆる人間の造り上げた建築物・造成物を撮って、撮って、撮りまくった、まるで蒐集の鬼のような写真集のように思えます。全145巻もあります。当時、建築・設計・デザイン関係者たちの間でこのシリーズがどのような評価を受けていたのか、専門外の私にはまったくわかりませんが、まだ人びとが生活だけでせいいっぱいだったはずの時代、よくもこれだけの巻が出されたものだ、と感心しました。
 本シリーズが発行されたのは1953年から70年にかけてで、特にシリーズ前半は50年以上も昔に発行されたことになりますが、ページをめくってみてあまり古びた印象は受けませんでした。当時の最先端を紹介するためにつくられた内容だからでしょうか。 
 ですから、建築やデザインの専門の方々だけではなく、当時流行の建築・デザインを知りたい人も、戦後の昭和の風景を懐かしみたい人にもおすすめしたい本です。本書はダイジェスト版とはいえ、各シリーズの古書を揃える手間ひまと金額を考えれば求めやすい価格と思います。
 
 個人的に気になるのはやはり喫茶店に関連するページですが、刊行当時m[洋風喫茶店]、[和風喫茶店]の2つのシリーズに分けられ、前者は6巻、後者は4巻出版されました。洒落たデザインや1棟建の豪華なビルのつくり、客席が満席になった賑やかな光景を想像して圧倒されます。設計・デザインを見せる写真集のため店員も客も写っておらず、建物の外観と内装写真ばかりですが…。たまに写っている人物は看板娘らしき店員でポーズをとっています。もしこんな女性が入口にいたら、思わず入店したくなりそうです。飲食店などの店内は時代を感じさせるレイアウトや小道具もある一方、今とさほど変わらない内装も見られ驚かされました。
 再編さんは編集者・写真家の都築響一氏によってなされました。知っている範囲で氏について説明すると、今ではすっかりいちジャンルとして定着した「珍名所・珍スポット巡り」の草分け的存在で、日本全国の珍名所を集めた写真集『珍日本紀行』(東日本編・西日本編、ちくま文庫より発行)は今は閉鎖された施設が多数あること、独断、偏見、愛に満ちた解説にはファンが多くいます。現在では旅を海外までに拡げ、珍スポット巡りをライフワークにしているそうです。

※文面に誤りや思い違いが多かったため、一部を改めました(2017年4月)。
  
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by matsutakekissa | 2010-02-15 23:14 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

喫茶 レモン 亀有

 お正月、初詣の帰りに亀有に途中下車しました。東京の東のはずれに住んでいた頃は葛飾区はお隣の区。しかし、移動手段がバス便くらいしかなく、かといって自転車ではやや遠い場所でした。
 すっかり再開発を終えたような駅前も、ちょっと歩けば昔からの商店街にたどりつきます。それが南に出ても北に向かっても同じなのは、うれしい驚きでした。
 しかし、さすがにお正月から開けている店は少なかったのですが、南口の商店街「ゆうロード」入口近くの「レモン」は営業していました。店内には意外と多くの人で賑わっていました。お出かけ帰りの人もいれば、この店に立ち寄るのが日課のような一人客もいます。
 外観だけではわかりませんでしたが、店内は意外と典型的な喫茶店のつくりです。奥が一段高くなった段差のある店内で、壁の一部に鏡が貼られています。パーテーション代わりの観葉植物の鉢植えや入口付近のマンガの棚が居心地のよさそうな空間づくりに一役かっていました。
 店の前のサンプルケースで悩んでいた3人の親子は、やや遅れて入ってきました。やや老境に入った夫婦と娘さんらしき3人で、お店の方に年始のあいさつをすると、それぞれがパフェを頼んでいました。
 パフェ以外にもメニューは豊富で、ピラフ、スパゲッティにハンバーグ・・・。といってもレストラン喫茶ではなくて、飲み物の種類も多くあります。
 さきほどの3人のところにパフェが運ばれていて、ちいさな歓声が口々に漏れていました。日常生活のなかのちょっとした幸せをわけてもらったようで、少し心があたたかくなりました。


コーヒー 350円
葛飾区亀有3丁目
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by matsutakekissa | 2010-02-12 23:33 | 一本マツ | Trackback | Comments(0)  

レモン (人形町)

 人形町路地裏のコーヒースタンド。もう何年も前お店の前を通りかかり、たわんだシャッターに擦れたペンキ文字の「コーヒー レモン」と書いてあるのをみて、「あぁ、ここって昔喫茶店だったのねぇ」と思いました。大変失礼ながら、現役には見えない外観でした。

 その後しばらくして、書店で手に取った喫茶店紹介の単行本*に、『レモン』の記事が掲載されているのを見て、ばりばりの現役だったことと、知ってる人は知ってる人形町の老舗喫茶だということを知りました。
 こうして、予備知識を得てしまった後ではどうにも積極的に足を向けようとは思えなくなり、また何年も時が経ってしまいました。ようやく行ってみようという気持ちになったのは、今年になってからでした。

 何度か前を通っているので場所に迷うことはありませんでしたが、開店しているのを見たのはこの日が初めてでした。全面ガラス張りの窓と、左右にある木枠のドアが印象的です。水玉模様のカーテンは少し日焼けしていましたが、店名と同じレモン色。
 意外なことに、店内には誰もお客がいませんでした。少し拍子抜けしてしまいました。
 店内を取り囲む白いカウンターにはアクセントのように、ところどころ、オレンジ色のラインが引かれています。天井から白熱球を直に取り付ける形の照明器具や、合板を貼り合わせた壁の色はシンプルだけど美しい。
 カウンターの内側に見えるのは、なべやポットなどの使い込まれた調理器具。みんな、お店を開いた当初から何も変わっていなさそうに思えました。
 壁にはぱっと見たところ、モーニングセットはありませんでしたが、お店の人にたずねたところ、サラダとトーストと目玉焼きがつきます、とのこと。
 調理の間、おばあさんはお孫さんらしき子どもに「忘れ物ないように気をつけて」と言ったり、息子さんらしき人と何事か話したりしていて、家族の生活の様子がかいま見られました。
 その間もなぜか他のお客は誰も来ず、少しさみしかったのですが、軽食メニューがあったので、お昼どきは混むのでしょう、きっと。と心の中で思いながら店を出ました。

モーニングセット 550円
・タマゴ・ハム・野菜などを挟んだトースト類、オムレツカレー、ハンバーグカレーなどの軽食類がありました。
中央区日本橋人形町1丁目
土曜と日曜と祝日はお休み
※『TOKYO & KYOTO隠れ家喫茶店案内』塩澤幸登・著、マーブルトロン、2005年。
 滅びゆく東京の古い喫茶店。なくなる前に店の記録を残したい、という(そうとははっきり書いてないが・・・)著者によって、店の歴史や仕事への想いなど、店主が語った言葉を織り交ぜながら、東京都内の喫茶店が紹介されています。この2、3年で閉店してしまった店(西神田・エリカ、人形町・越路、国立・邪宗門など)も掲載されています。
 以前取り上げさせていただいた『東京ノスタルジック喫茶店』の著者、塩沢槙さんは、こちらの本では写真を担当している、ということに今気づきました・・・。ということは、「隠れ家喫茶店」は、お父様と息子さんの共著*になるのでしょうか?!
※訂正:正しくは「お父様と娘さんの共著」とのことです(塩澤幸登様よりコメントをいただきました。2010/04/27)
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by matsutakekissa | 2010-02-10 20:37 | 中央区山 | Trackback | Comments(2)  

喫茶 ザオー 沼袋

 道路沿いにある店を見かけたのは3年ほど前。敷居が高そうで結局入らずじまいでした。今もやっているのだろうか。気になりだすと止まらなくなり、ある日の週末に訪れました。

 駅北口から延びる商店街を突き抜け、バス通りに出てしばらく歩くと、店は今も変わらずにありました。ドアにも窓にもカーテンがされていて、中の様子は分かりません。
 こじんまりした店内にはお客は誰もおらず、髪をひっつめにした店主のおばさんが、お米や野菜を洗ったりして仕込み中でした。
 ラジオの音以外、シーンとした店内。久々に緊張感が高まりました。コカ・コーラのロゴ入りのドアの取っ手、古びたハインツのロゴ入りのメニュー表、赤いチューリップのような間接照明、カウンターの吊り下げライトはマスカットキャンデーのような色と形をしています。開店時からあまり手を加えていなさそうな空間でした。
 壁には健康飲料『パイロゲン』のポスターが貼られ、メニューにはおにぎりやスパゲチ、ピラフなどの軽食メニューもありました。
 かなり年数の経ったお店なので、店の前を大型車が通るたびに、店がかすかに震えるようでした。隣の飲食店からの物音もよく聞こえてきます。表現は悪いけれど、まるで安普請のアパートの室内にいて、息をころしながら、隣から響く音に耳をそばだててる感じで、ひさしぶりに緊張感を味わいながらコーヒーを飲みました。

コーヒー 320円
中野区沼袋

 
 
 
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by matsutakekissa | 2010-02-09 12:56 | 一本マツ | Trackback | Comments(0)