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エリカ

 自分にとって、最も身近な場所にある店ほど入りにくいものはありません。まして、雑誌や本に何度も載っている有名店ならなおさらです。
 しかし何となく知った気になっていて、行ったことないというのは恥ずかしい。そうこうしていたら西神田のエリカは映画のロケ地になり、ますます足が向かなくなったら閉店していました。
 ある日思い立ってようやく重い腰を上げました。どうせ、皆が言うほどの店ではないのだろう。
 複雑な気持ちでドアを開けると、そこは光と影が見事に調和している空間でした。使い込まれた椅子とテーブルが光っています。仕事の話をしているサラリーマン、世間話をする近所の客。「東京の喫茶はシックでいいねえ」という観光客らしき老人も店に溶け込んでいました。
 マスターはカウンターに座る常連と昨日の巨人戦の話をしています。地上波での中継が少なくなったのでラジオを聴くというおじさんは臨場感がないと嘆き、スカパーに入ろうかと思案していました。
 その瞬間、自分の中でこの店に対して抱いていた壁のようなものが崩れました。マスターと常連が巨人ファンというのが当たり前の、東京らしい東京の喫茶を見たようで、ほっとして店を出ました。

モーニング 500円 コーヒー 420円
千代田区神保町1丁目
土曜は午前中の営業。日祝 休
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by matsutakekissa | 2008-08-29 22:50 | 千代田区山 | Trackback | Comments(0)  

きゃんどる

 台東区にある多くの喫茶の共通点、それは競馬中継が見られる店が多いということです。
 場外馬券場は浅草・六区のウインズですが、その辺りははもちろんのこと、かなりはずれても競馬中継放映中の店があったりします。
 国際通りとぶつかる五差路の角にあるきゃんどるという店も、また然りでした。
 ちょうど阪神対巨人のデーゲーム。巨人が勝ち越していて8回が終わったところでした。
 競馬の話をしていたおじさんも、「よっしゃ、今日は勝つな」と言うと、店のおばさんは
「仕方ない。今日は勝たせてやるか」。下町=巨人ファンというこちらの思い込みに反し、おばさんは阪神ファンなのでした。
 その後、おばさんはつまんない、と言って競馬中継にチャンネルを変えてしまいました。

コーヒー 350円
台東区千束
日曜5時まで
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by matsutakekissa | 2008-08-29 22:37 | 台東区山 | Trackback | Comments(0)  

リボン

 地下鉄日本橋駅から三越方面出口へ向かう階段の途中にある、カウンターのみの喫茶店です。ガラスの引き戸を開けるといきなり椅子があってつんのめりそうになります。バーの止まり木のような回転式の椅子が6、7席ほどの極小の店でした。コーヒー、紅茶、レモンスカッシュ、ミルクセーキ、ハムトーストなど、喫茶店メニューが掲げてありましたが、カウンターの奥には洋酒の瓶が並んでいて、夜はバーになるようです。
 一見コワモテで無口なマスターは接客に親切そうな様子が伺えました。動きにも全く無駄がありません。
 NHKラジオが唯一の店内音響でした。江戸の古地図と小津安二郎の映画『東京物語』のポスターが飾ってあります。マスターが生粋の江戸っ子か、東京に憧れを抱いて上京した地方出身者かはわからなかったけれど、東京の街に特別な思いがあるようです。

コーヒー 250円 モーニングセット(トーストまたは卵サンドとコーヒー)350円
中央区日本橋1丁目
土日 休
【閉店しました(2013.12現在)】
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by matsutakekissa | 2008-08-29 12:45 | 枯れマツタケ | Trackback | Comments(0)  

テンダリー

 東京も郊外には古い喫茶店が割合残っているようです。立地も駅周辺で分かりやすいことが多く、都心部のように苦労せずとも喫茶店に出会えることが多いのです。
 金町駅の南口は再開発中で、商店街の真ん中に杭を打ち込んだかのようなビルの建設現場がありました。だだっ広くなった駅前道路には新しそうなフィットネスクラブ、その脇の路地には居酒屋があり、釣り合いのとれていない光景が続きます。
 商店街の奥へ進み、テンダリーという名の喫茶店に入りました。
 蒸し暑い気候にエアコンのひんやりした空気と、音楽室のような溝のある木製の壁は赤と緑のストライプに塗られています。
 沢山置いてある新聞・雑誌を読み漁り長居をしてしまいましたが、後から来店したおじいさんはうたたねを始めていました。

コーヒー 350円
葛飾区金町
朝9時~夜10時
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by matsutakekissa | 2008-08-29 00:33 | 一本マツ | Trackback | Comments(0)  

エド

 今現在、「エド」と言うと吉本芸人の名前が真っ先に挙がり、それから英語圏の男性名、その次くらいに「江戸」が連想されるのでしょうか。
 東日本橋の清洲橋通り沿いにある喫茶店は、「ED」と書いて「エド」と読みます。微妙だ。
 店名の由来を気にしつつ店の裏口へ回ると、裏通りからも入れるドアがありました。なんとなく
こちらからの方が入りやすい、と思って入店するも、しばらくお店のおばさんに気づかれず。
 先客の女性がちらちらこっちを見たのでおばさんもようやく気づいてくれました。
 珈琲と紅茶専門店だけあって、コーヒーは濃いものがたっぷりと入って出てきました。去る時は表扉を使いましたが、そっちの入口付近にはコーヒー豆のガラス瓶がいくつもあり、挽き売りも行っていました。

コーヒー 400円 モーニング 600円
中央区東日本橋1丁目
朝8時?~夕方 土日祝 休
※営業方針が変わり、テイクアウト方式のお店になったようです。コーヒーはたしか200円でした(店のガラス窓に大きく貼紙あり)。営業時間も11時~夜7時に変更となったようです(2009年秋以降の変更のようです)
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by matsutakekissa | 2008-08-28 08:00 | 中央区山 | Trackback | Comments(0)  

ミモザ

 銀座の中心部から昭和通りを超えて臨海方面へ向かうと、もうそこは銀座ではなく、月島・築地エリアの雰囲気が漂っています。古い木造家屋も所々に残る、柳並木の通りを挟んで、斜め向いに喫茶店が2軒ありました。
 そのうちの1軒に入ると、お昼を食べたサラリーマンがくつろいでいました。1時過ぎでしたが、のんびりと世間話に花を咲かせています。接待の店を思案中で、冗談混じりに「すきやばし次郎」はどうだとか。。
 こじんまりとした店ですが、店の奥にはテレビ、入口にはスポーツ紙、週刊誌、全国紙が揃っています。不思議なことに腰を落ち着けると自分もすっぽりその場にはまってしまいました。
 母娘のように見える女性2人がきりもりしていて、帰りの際にはお母さんらしき方が「お忘れ物のないようにお気をつけて、ありがとうございました」と言ってくれました。どの客にもきっとそう言うのでしょうが、その一言がうれしく感じました。

コーヒー 330円(H)、(I)350円 ランチ有
中央区銀座
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by matsutakekissa | 2008-08-27 12:48 | 中央区山 | Trackback | Comments(0)  

カブト

 証券会社のビルばかりが立ち並ぶ街、日本橋兜町。この街もかつてバブル景気に沸いた頃は活気があったのでしょうか。店名の「カブト」は、兜町から来ているのだと思いますが、住所は茅場町。目の前のビルが取り壊されたため、裏路地の店が目立っています。

 ある朝8時前に店に入ると、そこはやはり常連客の雰囲気が濃い空間でした。ある席に座ろうとすると、店のおばあちゃんが、「ああ、そこはもう少ししたら来るお客さんが座る席だから」と止められ、奥のひっこんだ席に案内されました。
 奥の席にはそのおばあちゃんよりさらに年取った大おばあちゃんが座っていて、テレビを見ています。灰皿出そうか迷うおばあちゃんに、「とりあえずは出すもんだよ」と指導する大おばあちゃん。ニュースをみて時々「アハハハ」と笑います。
 後で来た常連客は、自ら店の冷蔵庫を開けてドリンクらしきものを取り出していきました。
 コーヒーはおばあちゃんによると「朝は300円です」とのことでした。

コーヒー(モーニングサービス) 300円
中央区日本橋茅場町
朝7時?~夕方4時? 土日祝 休
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by matsutakekissa | 2008-08-26 22:19 | 枯れマツタケ | Trackback | Comments(0)  

COFFEE SHOP TEA

 浅草から上野の方へ抜けるかっぱ橋本通り。浅草からは国際通りから入るとどぜうの飯田屋、テプコ浅草館などが並んでいますが、喫茶店の数もなかなか多いです。それを横目にしながらどんどん上野の方角にあるいていくと、TEAという喫茶店に辿り着きました。
 COFFEE SHOPと書いておきながらTEA。お茶するところ、という意味はなんとなく分かるけど、なぜにCOFFEEとTEAがかぶるのか。せめてTEA ROOMだろうにとツッコミを入れつつ、店に入りました。
 店はおばあちゃん一人がやっていて、常連さんとの話に花を咲かせているところでした。自分の来店で、ぴたりと声がやむも、しばらくすると元の会話に戻りました。邪魔しちゃったね、おばあちゃん。各テーブルに置いてある卓上ライターには、なんとなく存在感がありました。

コーヒー 400円
台東区松が谷
日 休
 
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by matsutakekissa | 2008-08-25 12:56 | 台東区山 | Trackback | Comments(0)  

ヴィクトリア

 新橋駅高架下にある洋菓子店ヴィクトリア。昼間でも薄暗い高架下にはちょっと場違いにも思える洋菓子店があります。
 看板には「EST 1929」の文字、つまり創業は戦前。彰国社発行『建築写真文庫18 洋風喫茶店2』に、ありし日の姿が載っています。昔は銀座6丁目に2階建の店を構えていたそうですが、現在は場所を移し、ケーキ類販売スペースとカウンターの喫茶スペースのみの店になっています。
 ある土曜日に店に入ると、カウンターには女性2人が先客でした。買い物帰りにケーキとコーヒーを楽しむ主婦ではなく、これから仕事に出るスナックのママらしい方でした。古い喫茶店=男性サラリーマンが常連、という思い込みが崩れた瞬間で、コーヒーをのみながらタバコをくゆらせる姿がいかにも慣れている様子でした。
 20席もないような小さな喫茶スペースなのにひいきのお客さんは多いらしく、コーヒーチケットが何枚もカウンターの奥に貼り付けてあります。先客2人が帰った後、若い店員2人は世間話に夢中でした。天井からは時々電車の音。この店のよさを考えながらコーヒーをすすりました。
※その後何度か来店しましたが、いつ行っても誰かしらお客がいます。黒い蝶ネクタイにワイシャツ姿のおじいさんが、オーナーか古株の従業員のようで、新入りのスタッフに色々教えていました。サイフォン式のコーヒーが売りらしく、店のオリジナルブレンドがワンドリップ式のバッグ入りで販売されていました(2009年4月)。
コーヒー 420
ケーキセット ケーキの値段+コーヒー・紅茶210円
港区新橋
土日 不定休

駅再開発のため、2016年3月に閉店しました。ケーキがおいしかったですが、どこで製造していたのでしょうか?昔の文献等を見るとヴィクトリアは都内数カ所にチェーン展開(?)していた時期があったようです(チェーンではなく独立経営だった可能性もあります)。

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by matsutakekissa | 2008-08-24 11:55 | 港区山 | Trackback | Comments(0)  

モナリザ

 大森駅より東方面にある商店街は、濡れずに買い物ができるアーケードになっているのですが、昔からの店は閉店したところが多く、新規参入はチェーン店ばかりでさびれた雰囲気が漂っていました。携帯電話キャンペーンガールの声が閑散とした商店街に響き渡り、なんだかさみしい。
 そんなアーケードを抜けた横っちょにある喫茶モナリザは、ネクタイとベストを着けたおじいさんのマスターが一人でやっている喫茶店でした。
 肌寒い風が吹き付ける夕方の午後に入ると、お客はゼロ。2階にも席があるようですが、今は閉めているようです。メニューを見ずにコーヒーを頼みましたが、カウンターには洋酒のボトルも置いてあります。
 誰かの気配がして振り返ると、店の奥の鏡に映る自分の姿でした。それにしても、古い居酒屋やレストラン、喫茶店などの飲食店には、なぜ鏡があるのでしょうか。なんとなく奥行きが広く見えるだまし絵効果のようでもあります。

コーヒー 350円
大田区大森北
日 休?(他平日、土曜、祝日の休業日は不明)

※2013年冬に休業し、その後再開していないようですとの情報をメールにていただきました【2014.8】
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by matsutakekissa | 2008-08-24 11:12 | 大田区山 | Trackback | Comments(0)