カテゴリ:エトセトラ( 38 )

 

幻の喫茶店 えびはら 秋葉原

 秋葉原にあった風変わりな喫茶店。電器店、ソフト店などがひしめきあう裏通りで完全に時代から取り残され、喧騒の中を歩くほとんどの人々は店があることさえ気づかずに通り過ぎていきます。
 喫茶店だというのに店の前にはコカ・コーラの自販機が2台。そのため自分もとうに閉店した廃屋だと思っていたら、ある方(おそらく男性の方だったと思います)のブログかサイトを拝見しました。営業は昼のわずか2、3時間で、土日祝お休み。ご主人は「もうそろそろ潮時かな・・・」とつぶやいていたそうです。
 それから時間をみつけては、昼に秋葉原に通いました。しかし、12時になってもいっこうに開く気配はなく、タイムアウトで社に戻ること2回。だめもとで訪れた3回目、12時45分すぎに、とうとう「準備中」だった札が「営業中」に変わりました!
 ご主人は「コーヒーくらいしかありませんが」といいました。店内の入口近くの席は、缶コーヒーや清涼飲料水の箱で埋まり、カレンダーはその年の3月でとまっていました。雑誌から切り抜いたような女優やオードリー・ヘップバーンの写真が壁を飾ります。b0158023_21502451.jpgb0158023_21504060.jpg
 店のテレビだけが新しいフラット型です。大相撲夏巡業の様子と、楳図かずおの邸宅景観問題のニュースが流れていました。力士に抱え上げられ、泣き出す子どものシーンで、突然ガハハハと笑い出すおじさん。
 店を去るとき、わざわざ入口まで見送ってくれました。「よろしければまたきてください。ありがとうございました」
 時間が時間だけに、なかなか訪れることが叶わず、これが最初で最後の来店でした。あれから一年。あの店で観たニュースの問題はちっとも解決していませんが、店は昨年12月に店をたたみ、取り壊され跡形もなくなりました。

コーヒー 320円
千代田区秋葉原(料亭 赤津加の斜め向かいでした)
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by matsutakekissa | 2008-10-02 21:52 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

ニュー・ワールド・サービスのコーヒーカップ

 2007年3月末に、三信ビルの解体とともに閉店した「ニュー・ワールド・サービス」。閉店も解体もとても残念な出来事でした。しかし、物事にははじまりと終わりがあるように、この店もそうだったのだ、と思うことにしています。
 ところで、店で使用されていた、コーヒーカップは、厚手のクリーム色がかった白い陶磁器製でした。コーヒーカップは薄手に限る、とどなたかが書いていましたが、手触りのよさと、手にすっぽりはまるデザインが好きでした。
 ニュー・ワールド・サービスと同じコーヒーカップを使用している店は、都内にいくつかあります。

 1.神田白十字(神保町)
 西神田に古くからある店だそうです。店の1階は半地下のようになっていて、天井が高く感じられます。受け皿は茶色の陶磁器ですが、カップは白色厚手です。
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 2.ローヤル(有楽町交通会館)
 赤いソファと枡席みたいな天井が印象的な地階の喫茶店。店は改装されているようでしたが、カップは・・・。
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 3.KENT(東上野)
 喫茶店というより洋食店のような店でした。定食を頼むとカップにはコンソメスープが入っていました。
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 4.ニューブラジル(日本橋)
 モーニングプレートの上に乗って出てきました。
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 5.ニュー・ワールド・サービス(日比谷)
 思い入れの強いカップの割りに、はっきり写した写真がないことに気づきました。
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 まだ、他にもあったかもしれません。ちなみにこのカップは合羽橋の洋食器を扱う店にも置いてありました。一客420円で6客から販売でした。
 
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by matsutakekissa | 2008-09-29 23:37 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

喫茶店のセオリー

 旧い喫茶店にありがちないくつかのパターンについて、まとめてみました。

①店名
 コーヒー豆の産地や種類を使ったもの(ブラジル、モカ、サントス、など)。カタカナであればなんでもよいもの(アーモンド、ドリアン、スメルなど)。その他ヨーロッパの地名など、カナ書きが圧倒的に多い。
②店名の前につける冠詞のようなもの
 喫茶、コーヒー(珈琲)、純喫茶、喫茶室、ティールーム、カフェテラス、コーヒーショップ、コーヒーハウス、談話室など。看板を付け替えた喫茶店では、新しい看板が「カフェ」、古い看板が「喫茶室」となっているものも。珈琲専科、珈琲家等は珈琲専門店に多い。
③外観
 草が多い。草に埋もれている。もちろん雑草が生い茂っているという意味ではなく、植栽、花のプランターを育てていることが多い。外観に草があると、えてして店内にも観葉植物が茂っていることが多い。
④照明
 白熱球を使用した間接照明が多い。シャンデリア、チューリップやボール型の照明器具など。
⑤内装
 木板を貼った壁が多い。白塗りの壁がヤニで汚れて黄色くなった店も。茶色、黒色、赤色系統などの革張りのソファ。クッションが利かない、革の一部が破れ布テープで補修しているものも。あるいは背もたれに飾りやクッションがついた木製の椅子。テーブルはクリーム色系の合板、胴を張ったもの、コーヒー豆を敷き詰めた上にガラス板を載せたもの、木製など。よく、金属製の足の部分が錆びている。ソファ、椅子、テーブル共に一昔前の日本人の体格に合わせた小ぶりなつくり。
⑥お冷や、コーヒーカップ、砂糖つぼなど
 来店すると、大体の店で出されるお冷やグラス。圧倒的に多いのは佐々木硝子製のスタッキング式。スタッキング式以外でも佐々木硝子製のグラスは数種類見かける。フランス製デュラックスはカッティングが独特。飲み物だけを注文しても布製おしぼりが出てくる店は、半数より少ないかもしれない。軽食・ランチを注文した時だけ使い捨てウェットティッシュを出す店も。
 コーヒーカップは薄手のほうがコーヒーの味をよく味わえる、と何かの本で書かれていたが、自分は「THE業務用」の厚手コーヒーカップが出てくるとうれしい。1点モノのコーヒーカップをコレクションし、壁に飾りつつ使用する店もあれば、さりげなくマイセンカップが登場する店、内装は立派だが、安手の花柄模様のコーヒーカップということもある。
 コーヒー専門店では、ザラメと白砂糖の2種類をテーブルに設置することが多い。砂糖つぼはステンレス製、カッティングガラス製、丸っこい形のガラス製で、蓋が木製など。湿気で砂糖が固まっている場合があるが、グラニュー糖だと大体さらさらしている。意外と角砂糖派は見かけない。
 コーヒーミルクは、近畿地方ではフレッシュと呼ばれている。都内でも、たまにフレッシュという店がある。個人的には、1人用の金属製ミルクピッチャーが出てくるとうれしい。これは意外と高級で、1つ千円以上している(カッパ橋道具街にて調べ)。
(値段については大変大きな勘違いをしていたことに気付きました。というのも、新宿にあるヤマモトコーヒー店では、金属製ミルクピッチャーが1つ200円くらいで販売されていたので。とすると、かっぱ橋ではダース売りで1000円以上ということでしょう。裏を取っておらず、申し訳ありませんでした)店に1~数個あるステンレス製のミルクいれを使い回すところも多い。その他、1テーブルに一つ置かれる小型ガラス製ミルクいれなど。ガムシロップも同様の入れ物に入っていることが多いが、1人用の金属製はミルク用より1~2回り大きい。
⑦会計
 店オリジナルロゴ入り伝票をいまだに使っているところも多い。伝票の必要がないのか、マスターが客の注文を記憶している店も。レジスターは手動が圧倒的。たまにレジスターすらなく、机の引き出しのような木製の仕切りに小銭を入れている店も見かける。
⑧マスター、マダム、オーナーなど
 若い人は少ない。40代でも若い。75歳以上の後期高齢者が現役として働いている店も多い。暇な時間は客との会話に混じったり、新聞を読んだり、テレビを見ている。たまにカウンターをはずしていることも(困る)。私服にエプロンの形が多いが、ワイシャツ、蝶ネクタイにベスト着用のマスターも見かける。背広姿のマスターもいるが、大体ウェイターのみの仕事をしている。
⑨看板
 仕入れている珈琲豆卸売店などのロゴが入った、足つき小型の電気看板は気になる存在。キーコーヒー、アートコーヒー、コカ・コーラなどの大手はよく見かける。チモト、ファースト、ミカドコーヒーは都内ではよく見かけるが、地方都市へ行くと見かけなくなる。(←うそうそ。チモトは結構いろんな所で見かけました。沢山あるってわけではありませんが)代わりに別の珈琲豆卸売店のロゴ入り看板が幅を利かせている(これは本当。地元の豆屋さんのロゴはもの珍しくて新鮮です)

 ざっと書くつもりでしたが、きりがないので、とりあえず本日はこのへんにします。
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by matsutakekissa | 2008-09-13 11:00 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

喫茶発祥の地

 三越前や秋葉原を通る中央通り沿いにそびえる三洋電機ビル敷地内の片隅に、ひっそりと建つ「日本最初の喫茶店発祥の地」の碑と、白いコーヒーカップ&ソーサー。
 ここに日本最初の喫茶店、「可否茶館」があったそうです。
 明治21年(1888年)というから、今からちょうど120年前。撞球やクリケットなどの運動施設、更衣室、シャワー室まで揃えていたというから、英国や仏国の文化をそのまま持ち込んでいたんですね。
 また、可否茶館を会場に「男女交際会」を催したとされています。現代語訳すると出会い系カフェ。言いすぎか。
 しかし、当時は社交パーティーのような、そうとうハイカラな雰囲気だったのでしょう。コーヒーだけでなく洋酒なんかも出していたそうですから。
 しかし、時代を先取りしすぎたのか、世に出るのが早かったのか、その後4年で閉店し、明治44(1911)年、銀座に開店した「カフェープランタン」の登場をもって、喫茶店が世に受け入れられたそうです。
 ちなみに、カフェープランタンは現在も銀座にて営業中です。ちなみに、カフェープランタン、可否茶館は存続していませんが(大正2年創業のカフェーパウリスタは珈琲豆の販売と喫茶店を現在も営業中)、小樽と東京・阿佐ヶ谷には可否茶館という喫茶店があります。由来はおそらく、最初b0158023_9411956.jpgの可否茶館にちなんでいるのでしょう。

設立場所:台東区上野1丁目

参考文献:ウィキペディア日本語版(コーヒー、喫茶店のページ)
鹿島 茂:カフェ=珈琲を飲ませる場所こと始め、東京人(2000年5月号)
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by matsutakekissa | 2008-08-14 09:44 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

とある喫茶店の話

 このブログタイトルを、「マツタケ喫茶店」と付けている以上は、少々危険な喫茶店の話も書いてみたいと思います。
 ただただ古いだけの喫茶店を「何十年という歴史がある」、「懐かしい」と賞賛する声には疑問を感じます。 そこへ誰かが通いつづけられる店であり、今現在の話題(ニュース)が交わされなければ、それこそ本当の「時が止まった店」になるわけで。
 で、本日行ってきたのは、たぶんそういう店でした。
 看板の一部が落ちていたものの、外観はそれほど怪しい様子ではなかったので、いつものごとく扉をあけると、黴くさい臭いと薄暗い店内、そしてうす黒い水槽。
 「いらっしゃいませ」。おばあさんが奥から出てきて、電気と冷房をつけました。ガガガガ・・・静寂を破る冷房の準備音。
 ようやく暗がりに目が慣れてくると、入口の壁にある黒い鳥と亀の剥製に気づきました。店の奥には鉄製の仕切りがあるのですが、ゴシック調というか、檻のようにも見えました。
 火の鳥のような画が掛かっていましたが、なんだかそれさえ不気味に見えました。
 「何にしますか?」 壁にかかるお品書きはスパゲティ、焼きそばなどがありましたが、値段が書いてありません。ホットコーヒーを頼みました。
 店の奥のテレビが唯一、この店と現在をつなぐ証拠のように思えました。おばあさんはテレビを見ながら、時々こちらの様子もうかがっています。
 店を出る時、おばあさんの顔をもう一度見ました。
 墓場鬼太郎のお母さんに似ていました。

コーヒー 500円
場所:江東区のとある交差点の近く

 
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by matsutakekissa | 2008-08-09 19:34 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

マツタケ喫茶店にての作法

 自分にとっての喫茶店の最悪な思い出について(以下、である調にて記載)。
 ある日、以前、前を通りかかった喫茶店へ行こうと錦糸町駅を降りた。
 記憶を頼りにその店まで辿り着くと、ホットケーキを看板メニューに掲げる小さな店は少々混みあっていた。そして一歩入った途端、何か異なる雰囲気を感じたのだ。常連がいない。初めて来たのにそんな確信を抱いた。入口近くの席に座るお姉さんは、ドア付近にどっかり座るネコの観察に余念がなく、とうとう写メールし始めた。どこにでもいそうな普通のトラ系ネコである。後から来て自分の隣の席に座ったご夫婦らしき方々も、ネコについて「やっぱりいたね」とか「いなくなっちゃった。パトロール?」とか噂していた。
 その後、出されたホットケーキを早速写メールした。かなりデカイ音がしたが夫婦は全く振り返らない。そのうち隣の席にホットケーキが来ると、女性は一眼デジカメを取り出しパシャ、パシャ、パシャ、と皿を回しながら連写を繰り返し、男性は、いかにも付き合わされています、というふうに終始無言で、一生懸命単行本を読むフリを続けていた。
 何かおかしい、何か変だ。この店はマスターとお喋りするのでも新聞を読むのでも食後の一杯が目的で来ている人がいない。
 勘定を時、背後から感じる鋭い視線は、後ろのネコ好きお姉さんのまなざしであった。あやうく店のお姉さんに「ここは、何か雑誌かネットで掲載されているのですか?」と聞きそうになったが、聞けずじまいで店を去ることに。
 帰宅後、ネットで店名と場所で検索してみると、出るわ出るわ沢山のブログ。そんなに有名な店だとは全く知らなかった。デジタル・ディバイドってやつか。
 居心地の悪い店だった。自分も含め、あることに夢中で「マニア」と言われても仕方のない方々は、同胞には大変厳しいことが多い。鉄なんかがいい例で(別に鉄に恨みはないが)、列車の一番乗りに先を越されたり、撮影に良い位置を陣取られて悔しがっているのを見かけて、かなり引いた。そう、自分がその日見てきたのは自分自身だったのだ。
 その後、喫茶店探しはやめられていないが、この苦い教訓は忘れずに店をくぐるようにしている。
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by matsutakekissa | 2008-08-01 23:08 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

マツタケ喫茶店とは(その二)

 そして、もう一言。 
 近年巷の雑誌やネットやテレビで取り上げられる、「レトロ」、「純喫茶」、「昭和」という枕詞に続く形容詞、「まるで時が止まったような」、「変わらない」、「落ち着いた」。そのどれもが嫌いです。褒め言葉が褒め言葉になってないような。
 喫茶店は、その多くがグルメ店ではないと思います。あってもなくてもいいような、悪く言えば駄菓子のような存在というか。都心で創業30年以上の喫茶店が内装を変えず、現在も営まれているのは、確かに珍しいし、希少価値は高いけど、古けりゃ何でもいいってもんではないでしょう。
 いい喫茶店というのは人それぞれで違うけれど、誰かの生活の一部になり、空気にお金を払っているような場所だと考えています。
 じゃあ、自分はなぜ古い喫茶店にこだわるのか。 
 それは街や人の雰囲気を、とても簡単に感じられる場所だから。知らない街でも知っている街でも、喫茶店に入れば何となく街や人の雰囲気が持ち込まれたような気持ちになります。店の人の客あしらいや世間のニュースに詳しい常連さんとの会話、一つひとつに個性があって、新鮮な驚きや刺激を与えてくれます。ハコも面白いけど、やっぱり一番面白いのは喫茶店の人間観察に尽きると思うのです。
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by matsutakekissa | 2008-08-01 21:56 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

マツタケ喫茶店とは(その一)

 今更ながら、ブログタイトルのいきさつです。
 マツタケって、自分は採ったこともないけれど、もし生えているとすれば、
 ・意外と目に付かないところ
 ・一本見つけたら、近くにもう一本見つかる
 ・ある一定の条件(環境など)生えているエリアが決まっている
こんな処かと想像しました。で、それは古くからある喫茶店の立地条件に何となく近いような気がしました。都心では特に、喫茶店の多い地域を歩き始めると、沿線や駅周辺というカテゴリーで括られることができないのが実感できます。たとえば築地から新橋、日本橋を歩いてみると、喫茶店があちこちに点在して一つの大きな山脈を築いているように思えます。
 もう一つは、喫茶店の持つ、妖しい雰囲気。純喫茶なんていうのは、風俗系の喫茶店と一線を画すための呼称だったと言われますが、やっぱり元々喫茶店は妖しいお店も相当多かったわけで、その名残りみたいなものをキノコの王様である、マツタケに託しました。
 蛇足ですが、マツタケは「発見」するのではなく、元々そこにあったものなので、コロンブス君的コレクターにはならず、常連にもならず、コーヒーと店の雰囲気を味わうような記録集にしたいと思います。
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by matsutakekissa | 2008-08-01 21:38 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)