カテゴリ:エトセトラ( 38 )

 

脇役たちの物語

 先日、仙台に行きました。4年前、牛タン食べに立ち寄っただけの街で素敵な喫茶店に出会えたので、今回は大いに期待して訪れました。しかし、結果はさんざん。街全体がリニューアルされたような印象で、これは、と思う店には出会えませんでした。
 歩き方が悪かったのかもしれません。しかし、電車が1時間に1本しか通らない鄙びた駅前に魅力的な喫茶店がある町と比べてしまうと、この街は大きすぎ、整備されすぎていました。
 その上、立ち寄った喫茶店のTVは、なぜか柴又特集や東京のニュースばかり。いちいち首都への羨望をあおる内容に感じられ、ここは仙台なんだぞ、と心の中で叫びました。

 その夕方、帰り際に寄った書店で、こんなタイトルの本を目にしました。「東京ノスタルジック喫茶店」。仙台のガイドブックを探すつもりだったのに、書店にすら東京の本が平積みされていることに驚かされ、さっきのテレビを観て感じたことは偶然ではないように思い、その本を手に取りました。

 普段はカウンターの奥で寡黙に立ち働く店主にスポットを当て、店の歴史を語ってもらったインタビューを元にした記事が37店掲載されています。有名老舗店から、地元の名店まで、自分が行ったことのある店も数多くあり、何気なく入った店にも、それぞれの歴史と店主の思いが詰まっていたのかと、興味深く読みました。
 
 タイトルと文体から著者は年配の方かと思ったら、意外にも自分と同世代の女性でした。はっきりそうとは書いてないけど、急激に消えつつある東京都内の喫茶店を、何らかの形で残そうと使命を感じて取材を始めたという、著者の強い思いも受けました。
 写真集のように鮮やかで魅力的なグラビアが載っている喫茶店紹介の本や雑誌とは違い、1色刷りが主体の地味な本ですが、自分にとっては興味深い、貴重な内容ばかりでした。
 こういう方が、この業界にもいるのだな。後は全て塩沢さんにお任せしましょう。なんて気分にもなり、これまで自分自身が感じていた、勝手な使命感みたいな重荷を下ろした気分になりました。って、ほぼ勝手取材、勝手撮影のトーシロがよく言うよって、笑われそうですが。

『東京ノスタルジック喫茶店』 塩沢 槙 著、河出書房新社、2009年4月刊、1800円(税抜)
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by matsutakekissa | 2009-04-13 23:08 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

2つのルノアール

 以前から気になっていた疑問です。喫茶室ルノアールは、親会社が2つあるのか?
 というのも、恵比寿、小川町の周辺には隣接してルノアールが出店していた時期が(恵比寿2号店は2007年12月末、神田小川町店は2008年5月に閉店)ありました。半径約300メートル以内に、同じチェーンが存在する理由が、まったくもって、わかりませんでした。
 そして、つい先日小川町のルノアール(淡路町店)を訪れた時、いつものルノアールと何かが異なることに気付きました。
 ①メニューにおしるこ、スパゲッティ、カレーがある
 ②いつまでまってもお茶が出てこない(通常30分以上の滞在客には日本茶のサービスがある)
 ③水出しアイスコーヒーの装置(巨大な砂時計みたいなやつ)がない
 ④ルノアールカード、Edyカードが使えない
 ⑤伝票を挟むボードがなく、紙に書かれた手書きの伝票が出された
 ⑥コーヒーカップの形が違う(ミルクピッチャーは同じ)
 ⑦ウェイトレスがエプロンをしている
 ⑧スティックシュガーではなく、シュガーポットである

 なぜだ。周りの人間に聞きましたが、やっぱり知らないので、ネット検索。同じような疑問を持たれた方はいるようで、「雑に」というブログを書かれていた方も、、ルノアールの謎について記事を書いていて、もっと決定的な違いを発見されていました。「看板に『銀座』がついていない」という点です。するどいですね。後で御礼を述べることにいたします。

 もう一度違いをよく確かめ、そして店の人に疑問をぶつけてみようと、淡路町店、そして「銀座ルノアール」の方の神田西口店をはしごしてきました。
 まず、神田西口店。こちらはリニューアルしたのか、椅子とソファが変更されていました。看板は確かに「銀座」のロゴが。そしてEdyもルノアールカードも使用可能です。

 そして、淡路町店。看板には、「銀座」のロゴが入っていません。しかしルノアールの書体は同じように見えます。よく見たら微妙に違うのでしょうか。

 ルノアールの象徴というべき、ソファ(トパーズとキャスター)も健在です。
 そして、おそらくルノアールの複製画と思われる絵画もかかっていました。障子の明かりのよさを生かしたつくりになっていて、地下の店でもさわやかな印象でした。


 会計時にウェイトレスさんに聞いてみました。「ここは、銀座ルノアールと違うのですか?」 「本社が違います」 ちょっと戸惑って無言でいると、「すみません」。まるで、自分がこの淡路町店を「ニセモノだ」と非難したような形になり、それ以上、つっこめず。情けない。
 家に帰って再度検索していたら、ウィキペディアの「談話室 滝沢」の記事に、こんな一文が。 

 「1959年に喫茶室ルノアールとして開業。しかし、当時のルノアール会の店舗急拡大路線を目指す他の会員との方針と対立し、接客態度と静かな雰囲気を重視した喫茶店としてのコンセプトを貫くため、談話室滝沢として再出発した。」

 では、淡路町のルノアールの経営母体は滝沢と同じなのでしょうか?また、折をみて、調べてみます。

【追記】写真がありませんが、淡路町で出されたコーヒーカップのソーサーには、ルノアールのロゴが入っていました。銀座ルノアールで使用されている(いた?)のと同じ備品が、一部使用されているようです。
【追記2】ようやくリンクの貼り方を覚えたので、貼り付けてみました。大変遅くなりまして、失礼いたしました。
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by matsutakekissa | 2009-03-25 13:02 | エトセトラ | Trackback | Comments(8)  

珈琲&スパゲッティ 世茂里奈 鶯谷

 鶯谷、入谷界隈は、「またか」と思うほど所用で来ることが多いのですが、いつも通るのは大体同じ道。
 先日、たまたま日暮里から鶯谷へ向かっていたところ、駅近くの交差点にツタだらけの建物と「珈琲 スパゲッティ」の看板が目に入りました。
 「洋食屋かな・・・」と思ったら、入口のショーケースにはスパゲッティ、カレー、カツ丼のメニューしかありません。値段はそれほど高くないので、入ってみました。
 外観からは想像がつかない、うすっぺらな店でした。敷地面積が異様に細長いため、座席数も小さなテーブル3席ほど、奥はカウンター席。10人入ればいっぱいになりそうです。
 マスターはえらく無口な方でした。とりあえず、スパゲッティがメインなので、ひさしぶりにナポリタンでも食べてみようか。それとコーヒー。食事と飲み物のセットメニューの中には、なぜかかけうどんまで選択肢に入っています(もちろん、スパゲッティとのセットではなく、カレーやカツ丼とのセットでした)。
 おじさんは無言で調理していました。店内にはNack5が流れています。
 ナポリタンは想像していたものと違って、ちゃんとしたエビ、パプリカ、ベーコン等が入っていて、ゆでかげんもきちんとしていました。ソースもオリジナルのようです。うまい、うまいとあっという間に平らげてしまいました。
 見た目はぱっとしない店でしたが、入ってみると意外な驚きばかりで、店の隠れファンがけっこういるかもしれない、と思って店を後にしました。

コーヒー 400円(食事とのセットだと150円) ナポリタン 600円
台東区根岸
※日曜もやっておりました。
 
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by matsutakekissa | 2009-03-23 22:52 | エトセトラ | Trackback | Comments(4)  

かつてのライバル?! 都内ミルクホールの現在

 キャッチーなタイトルをつけたものの、ミルクホールの歴史うんぬんはよく知りません。ミルクホールとは、学生向けにお酒を出さず、リーズナブルな価格で楽しめる店だったことが、喫茶店との大きな違いだったようで。
 その後、ミルクホールは廃れてしまい、喫茶店が生き残った理由は何だったのでしょうか。現在も残っているミルクホールの佇まいから、その原因をさぐってみることにしました。
 現在、都内でミルクホールの名前が残っている店は、自分の知る限りでは3店舗です(よく調べたら他にもあると思うのですが)。神田・淡路町の「サカエヤ」、北千住の「モカ」、そして千田の「若葉」です。
 3店舗に共通するのは、白い暖簾がかかり、引き戸であること。しかし残念なことにメニューや内装はかなり変わっているようで、「サカエヤ」は軽食喫茶からカレーとラーメンの店に転向し、「モカ」は洋風喫茶店のメニューへ転向していました。では、「若葉」はどうなのか。
 「若葉」の前を通ったのは5、6年ほど前で、現在でも営業中か不安でした。久々にたずね歩く商店街。その脇にある店は健在でした。
 店内は食堂風。壁には古い居酒屋や食堂で見かける寄贈された鏡があります。イスの上にはネコが2匹。若く幼い顔つきですが、かわいがられてよく太り、胴長の体型でした。

 あんみつ、ぞうに、やきそば、おにぎり、いなり、クリームソーダ、コーラ。動物園内のお休み処のように和風甘味処と洋風喫茶店のメニューが混在しています。意外やコーヒーもあったので、うれしい。
 店主のおじいさんは無言。でもニコリとしてお冷や代わりの日本茶を出してくれます。ビニール袋に入ったサラダおかき、黒飴もサービスしてくれました。
 店内には相撲とネコのカレンダーが貼られ、店主の趣味をよく表しています。壁には古い喫茶店でたまに見かける「琥珀色美人」のイラストも掛けてあります。
 
 店を出て、改めてミルクホールが消えた理由を考えてみました。若葉のお品書きは、食堂でも喫茶店でもない、中途半端に感じるものでしたが、他のミルクホールも同様だったのでしょうか? 最初はミルクホールで営業していた店も、より店の個性を出すために甘味処、食堂、喫茶店などに姿かたちを変えていったのかも知れません。

ミルクホール「若葉」
コーヒー 300円
江東区千田
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by matsutakekissa | 2009-03-22 18:48 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

コーヒーキャンデー

 コーヒー味の飴。5個入り100円で、中板橋の喫茶店で売られていました。
 発売元はトーアコーヒー。メキシコ帽子を被ったおじさんがコーヒーカップをかかげるように持つイラストがトレードマークの、珈琲豆卸売会社です。
 
b0158023_872798.jpg
それにしても、画像がブレブレ。
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by matsutakekissa | 2009-01-16 08:08 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

喫茶店にみる女子の生態

 旧い喫茶店にたむろするのは、大抵おじちゃん、おばちゃん、サラリーマン等の常連がほとんどです。40代以下の若い(…)女性はあまりいません。珍しくいるなと思ったら、その人は、ほぼ9割方喫茶ハンターか、喫茶コレクターの方々です(お前もそうやろが)。
 で、こういう方々は、大概店で浮いています。当然ながら。地元密着型の喫茶店は、オフィス街でも住宅街でも訪れる人が決まってしまっているので、一見客は浮いて当然。そして写真なんか撮り出すからなおさら。

 彼女らは大きく2種類に分類されます。地味女と、男性同伴のキレイな女。前者は文庫本か雑誌持参で訪れることが多く、後者はつれあいと店のメニューに感想をもらしつつ、「すみません、この店、ふるいんですかぁ?」。

 こういうとき、前者(つまり、自分な)、と後者がかち合ったら、すごく気まずい雰囲気になります。先般は、店を出る際じろじろ顔をのぞきこまれました。後でその店をネット検索すると、案の定、たくさんのサイトが引っかかりました。

 また、先日は、とある下町の喫茶店で、後者のふたりを目にしました。男性が写真を撮っているのをよく見ると、その人は女性に小声で「次はこれ」「あっちから」と指示されているようでした。店を出る際に「マッチ下さい」ということまで言わされています。男でカムフラージュしておいて、自分の趣味に付き合わせる。ブティックで洋服買わされるのよりかはマシそうだけど…。
 
 しかし、こういうハンターやコレクターたちというのは、喫茶店での憩い、寛ぎを、果たして得られているのであろうか。実は喫茶店を喫茶店として利用できない、不幸な客たちなのかもしれません。
 
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by matsutakekissa | 2008-12-22 12:33 | エトセトラ | Trackback  

食堂 筑波 千束

 浅草のはずれ、国際通り沿いの食堂。店の外にはコーヒー250円という貼り紙につられ、入ってみました。
 カウンターと4人がけテーブルが並列に並ぶ、典型的な食堂のレイアウト。壁には定食メニューが貼られています。食事時を外せば、コーヒーだけでも注文はOKでした。
 お客の一人がカウンターに飾ってあるリンゴを落としました。転げ落ちたリンゴはカラカラ・・・と音を立て、自分の足元で止まりました。拾って店のおばさんに渡すと、「どうもありがとう。ニセモノなんで、なんか恥ずかしいわ」とおっしゃいました。

コーヒー 250円
台東区千束
日祝 休
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by matsutakekissa | 2008-11-17 12:56 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

Bad Ass Coffee 神保町

 なんでもかんでも、番外編として、当ブログの主旨から外れた店を載せるのは気が引けます。
 が、この店は面白かったので載せたい。喫茶店ではないけど。
 神田駿河台の交差点から南へちょっと向かったところ。しんどそうな顔をしたロバの看板が目印のカフェです。
 ハワイに本店のあるコーヒー・チェーンで、コーヒーカップには英語で何やら店名の由来が。
The native people of Kona, Hawaii, remember the days of the “Bad Ass Ones.”
The bellows of the donkeys could be heard echoing through the mountains as they hauled the heavy load of coffee up and down the mountainside. In honor of these hard working donkeys, we named our coffee company.(続く)
 つまり、かつてハワイ・コナで、コーヒーの運搬という辛い労働に従事していたロバたちに敬意を表してつけた店名だそうです。ぱっと見、罵倒語か卑猥語かと疑ってしまうBad Assの意味は、地元の人々がロバに対してつけた愛称なのだとか(Bad Ass CoffeeのHPより)。
 ハワイ発のコーヒー・チェーンらしく、フレーバー・コーヒーやコナ・コーヒーが中心のドリンクメニューでした。ライオンコーヒーも販売されていました。
 店内でコーヒーを飲むなら、大抵空いている2階がおすすめです。ギャアギャア騒ぐ人々も突然携帯で話し始める人々にも、まず出会いません。このガラスキの聖域は、ゆっくり本を読むにも、仕事をするにも最適。と、いっても、この店は、もともとBRENZ COFFEEの跡地にできた店で、この2階の雰囲気はその時からあまり変わっていません。店のすぐ向かいにはヴェローチェ、周辺にはタリーズ、スタバ、マック、そして数々の老舗喫茶店がある喫茶激戦区。しばらく生き残ってくれればよいのですが。

コーヒー(ホット・アイス) 290円~
千代田区神田神保町
無休

※Bad Ass Coffeeは、2011年頃には閉店していた記憶があります。現在は別のテナントが営業中です【2014.9】

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by matsutakekissa | 2008-11-04 00:07 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

のりトースト食べ比べ

 神田の珈琲専門店「エース」では、看板メニューの、のりトーストを元祖と謳っています。
 一方、のりトーストが名物の喫茶店は他にもあります。どこがうまいのか、確かめてみることにしました。
 
 1.喫茶 西武(新宿)
 新宿3丁目にある大箱喫茶店。近年、何度かマスコミにも登場しています。近くにあった談話室滝沢が閉店し、新宿駅構内にあった支店もなくなった頃くらいから、この店の希少価値が高まったのかも。広い店内・居心地のよいソファを求めに来る客で賑わう店です。
 のりトースト(こんな名前ではなかったかも)のセットは、ワンプレートにポテトチップス、ミニサラダ、ヨーグルト、そして、磯辺餅のように海苔を巻かれたトーストが載っていました。バターのよく染み込んだトーストに海苔との相性がよかったです。

 2.ラ・メール(日本橋)
 三越の近くにある喫茶店。住所は日本橋本町です。外観はリニューアルされたようで、決して古くないけど、入口のドアや店の名前から、なんとなく古さが感じられます。
 のりトーストのセットは500円。朝11時までだと450円。コーヒーは350円。日本橋にしちゃ、少し安いな。セットを注文すると、のりトーストに、ゆで卵、バナナ、コーヒー(または紅茶)がつきます。コーヒーはネルドリップ式なのか、とても濃い味でたくさん出てきます。のりトーストは、たっぷりバター(マーガリン?)を塗った上に、のりを上に載せたもの。おいしいけど、少々塩分過多でした。


 3.珈琲専門店エース(神田)
 良く知られた神田の有名店。朝早くから、蝶ネクタイとベストを着込んだマスターが働いています。珈琲専門店だけあり、ドリンクメニューが豊富ですが、メニューに一言添えられたコピーが最高で、いつもどれを頼むか悩みます。サイドメニューはパン類が主で、のりトーストはサービス価格の120円(物価高で値上げしているかも)。うすいトースト3枚の間にのりを挟み、2つに切ったものです。見た目は最もシンプルですが、一口食べると絶妙のバランスでした。


 グルメ日記まがいの文章だな。自分の好みからするとエースのが、やっぱり歯ごたえと風味が一番でした。
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by matsutakekissa | 2008-10-23 22:22 | エトセトラ | Comments(2)  

暴走してしまったか

 今日も、東京の古い喫茶店がひとつ、またひとつと消えていきます。危機感を抱き、とにかく1店でも多く記録しようと試みました。が、地図では小さいはずの東京も、喫茶店数は3千軒を越えます。
 そんなことは分かっていたはずなのに・・・。1店、1店を大切に、よく見て味わい噛み締めるつもりでの「マツタケ」だったのに・・・。区や町で分けられない、喫茶店密集地のルールを自分なりにつけようと「山」と名づけたのに・・・。たった100店で、もうすでにそのルールは崩壊しかけています。
 そして、当然ながら、地の利により偏っていく地域差。渋谷や目黒に自分好みの喫茶店が少ないのは仕方ない。されど・・・。
 現在、カテゴリの「山」から、平々凡々な「区」にしようか思案中。そして、ホムペ的使い方からより、ブログ的使い方もしてみようかと悩むこの頃です。
 
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by matsutakekissa | 2008-10-10 23:11 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)