マツタケ喫茶店にての作法

 自分にとっての喫茶店の最悪な思い出について(以下、である調にて記載)。
 ある日、以前、前を通りかかった喫茶店へ行こうと錦糸町駅を降りた。
 記憶を頼りにその店まで辿り着くと、ホットケーキを看板メニューに掲げる小さな店は少々混みあっていた。そして一歩入った途端、何か異なる雰囲気を感じたのだ。常連がいない。初めて来たのにそんな確信を抱いた。入口近くの席に座るお姉さんは、ドア付近にどっかり座るネコの観察に余念がなく、とうとう写メールし始めた。どこにでもいそうな普通のトラ系ネコである。後から来て自分の隣の席に座ったご夫婦らしき方々も、ネコについて「やっぱりいたね」とか「いなくなっちゃった。パトロール?」とか噂していた。
 その後、出されたホットケーキを早速写メールした。かなりデカイ音がしたが夫婦は全く振り返らない。そのうち隣の席にホットケーキが来ると、女性は一眼デジカメを取り出しパシャ、パシャ、パシャ、と皿を回しながら連写を繰り返し、男性は、いかにも付き合わされています、というふうに終始無言で、一生懸命単行本を読むフリを続けていた。
 何かおかしい、何か変だ。この店はマスターとお喋りするのでも新聞を読むのでも食後の一杯が目的で来ている人がいない。
 勘定を時、背後から感じる鋭い視線は、後ろのネコ好きお姉さんのまなざしであった。あやうく店のお姉さんに「ここは、何か雑誌かネットで掲載されているのですか?」と聞きそうになったが、聞けずじまいで店を去ることに。
 帰宅後、ネットで店名と場所で検索してみると、出るわ出るわ沢山のブログ。そんなに有名な店だとは全く知らなかった。デジタル・ディバイドってやつか。
 居心地の悪い店だった。自分も含め、あることに夢中で「マニア」と言われても仕方のない方々は、同胞には大変厳しいことが多い。鉄なんかがいい例で(別に鉄に恨みはないが)、列車の一番乗りに先を越されたり、撮影に良い位置を陣取られて悔しがっているのを見かけて、かなり引いた。そう、自分がその日見てきたのは自分自身だったのだ。
 その後、喫茶店探しはやめられていないが、この苦い教訓は忘れずに店をくぐるようにしている。
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by matsutakekissa | 2008-08-01 23:08 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

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