フローラ

 お盆の夕暮れ前、スカイツリーの足元付近を歩いていたら、空がだんだん曇ってきて、ぽつぽつと雨が降り出しました。風も強くなってきています。暴風域に入ったようです。
 手元にあるのは、柄の折れた心もとない折りたたみ傘いっぽん。かばんには大事な書類が入っているので、濡らしでもしたら大変だ。どこかしのげる場所はないかと、住宅街を歩きまわっていると、コーヒーカップのシルエットが描かれた看板が目に入りました。
 赤レンガ貼りの外壁はいかにも喫茶店らしいのですが、上の住居部分は黄色味がかったモルタル壁で、すこし不思議な印象を受けました。
 上品な内装の店内ですが、下町の気の置けない雰囲気があって落ち着きます。
 店にいたグループ客らが先客としていたのにもかかわらず、店のママさんはとても気遣ってくれました。
 雨宿り目的で店に入ったことを告げると、「見つけてくださって、ありがとう」と言われたのを、今もよく覚えています。

 その後、近くへ立ち寄ることがあると、何度か店を訪れました。客足の絶えない店で、おしゃべり目当てで訪れる常連さんも多いようでした。最近になって、店のママさんとお話をすることができました。
 店内のあちこちをあらためてよく見ると、随所が凝っていました。b0158023_1240362.jpg
 木目が美しい壁板は創業以来変えたことがないそうで、床は木レンガを使用していました。お母さんが描いたという数々の絵画は本格的な作風で、仏画と南国土産のお面がうまく調和しています。
 店内は近年テレビドラマの撮影に使われたそうです。監督さんは長年使って変色した椅子の背もたれがいい感じと言っていたそうで、ママさんいわく、「日焼けしただけなのにね」と気恥ずかしそうでした。それにしても、テレビ局の人たちは、普段からロケ地探しに奔走しているのだろうか。さまざまな条件が揃わないと撮影は成立しないそうだし、大変な仕事なんですね。

 また、毒蝮三太夫さんのラジオ*に出演したこともあるそうで、その時のエピソードをお聞きしました。
 番組は毎回首都圏の小売店舗から中継し、店の方や近隣住民の方たちとまむしさんとの交流をメインに進行するそうです。ママさんは毒舌のまむしさんを食っちゃうような勢いで話がはずんだらしく、まるで漫才のような内容だったとか。まむしさんから「『下町の太陽』と言われたの」と発言した後、「自慢話でごめんなさいね」と、急に謝られてしまいました。いえいえ! こういう話は大好きです。それまでのおしゃべりから、収録の雰囲気がなんとなく想像できて、楽しくなってしまいました。
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 客層はほぼご近所の常連さんが多いそうで、なかには90歳代の方もいるのだとか。スカイツリーの見物客も時々やってくるそうですが、立地がやや分かりづらいので、2度目に訪れるのに苦労した、というお客さんの話も聞けました。でも、迷う楽しみも味のうちなんだろうなあ。

コーヒー 400円
墨田区東駒形2丁目
第一土曜はお休みだそう。
※立地がわかりづらいと書いてしまいましたが、実際はそうでもありません。本所中学校から通りを挟んだ裏手にあります。なお、写真は設定ミスで実物と大きく色合いが異なるため、今回はグレースケールでごまかしています。すみません。

*「大沢悠里のゆうゆうワイド」内「毒蝮三太夫のミュージック・プレゼント」(TBSラジオ)。毒舌と言われる毒蝮さんですが、「ウルトラマン」と「ウルトラマンセブン」の温厚な隊員役しか知らないので、今度ラジオを聴いてみたい。
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by matsutakekissa | 2011-12-26 07:53 | 墨田区山 | Trackback | Comments(0)  

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