レモン (人形町)

 人形町路地裏のコーヒースタンド。もう何年も前お店の前を通りかかり、たわんだシャッターに擦れたペンキ文字の「コーヒー レモン」と書いてあるのをみて、「あぁ、ここって昔喫茶店だったのねぇ」と思いました。大変失礼ながら、現役には見えない外観でした。

 その後しばらくして、書店で手に取った喫茶店紹介の単行本*に、『レモン』の記事が掲載されているのを見て、ばりばりの現役だったことと、知ってる人は知ってる人形町の老舗喫茶だということを知りました。
 こうして、予備知識を得てしまった後ではどうにも積極的に足を向けようとは思えなくなり、また何年も時が経ってしまいました。ようやく行ってみようという気持ちになったのは、今年になってからでした。

 何度か前を通っているので場所に迷うことはありませんでしたが、開店しているのを見たのはこの日が初めてでした。全面ガラス張りの窓と、左右にある木枠のドアが印象的です。水玉模様のカーテンは少し日焼けしていましたが、店名と同じレモン色。
 意外なことに、店内には誰もお客がいませんでした。少し拍子抜けしてしまいました。
 店内を取り囲む白いカウンターにはアクセントのように、ところどころ、オレンジ色のラインが引かれています。天井から白熱球を直に取り付ける形の照明器具や、合板を貼り合わせた壁の色はシンプルだけど美しい。
 カウンターの内側に見えるのは、なべやポットなどの使い込まれた調理器具。みんな、お店を開いた当初から何も変わっていなさそうに思えました。
 壁にはぱっと見たところ、モーニングセットはありませんでしたが、お店の人にたずねたところ、サラダとトーストと目玉焼きがつきます、とのこと。
 調理の間、おばあさんはお孫さんらしき子どもに「忘れ物ないように気をつけて」と言ったり、息子さんらしき人と何事か話したりしていて、家族の生活の様子がかいま見られました。
 その間もなぜか他のお客は誰も来ず、少しさみしかったのですが、軽食メニューがあったので、お昼どきは混むのでしょう、きっと。と心の中で思いながら店を出ました。

モーニングセット 550円
・タマゴ・ハム・野菜などを挟んだトースト類、オムレツカレー、ハンバーグカレーなどの軽食類がありました。
中央区日本橋人形町1丁目
土曜と日曜と祝日はお休み
※『TOKYO & KYOTO隠れ家喫茶店案内』塩澤幸登・著、マーブルトロン、2005年。
 滅びゆく東京の古い喫茶店。なくなる前に店の記録を残したい、という(そうとははっきり書いてないが・・・)著者によって、店の歴史や仕事への想いなど、店主が語った言葉を織り交ぜながら、東京都内の喫茶店が紹介されています。この2、3年で閉店してしまった店(西神田・エリカ、人形町・越路、国立・邪宗門など)も掲載されています。
 以前取り上げさせていただいた『東京ノスタルジック喫茶店』の著者、塩沢槙さんは、こちらの本では写真を担当している、ということに今気づきました・・・。ということは、「隠れ家喫茶店」は、お父様と息子さんの共著*になるのでしょうか?!
※訂正:正しくは「お父様と娘さんの共著」とのことです(塩澤幸登様よりコメントをいただきました。2010/04/27)
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by matsutakekissa | 2010-02-10 20:37 | 中央区山 | Trackback | Comments(2)  

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Commented by 塩澤幸登 at 2010-04-26 21:50 x
お父様と娘さんです。
Commented by matsutakekissa at 2010-04-28 01:42
塩澤様、コメントありがとうございます。すっかり勘違いと思い込みをしておりました。
記事に修正を加えさせていただきますね。
それにしてもご本人からコメントいただくとは、全く思っていませんでした。あまりに動揺して、一度おかしな返信を打ってしまいました。
大変失礼いたしました。お詫び申し上げます。

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