やっつけネタのあなたにいいたい

 「検索してもほとんど出てこない こんなにおいしいのに」
 某商業誌に書かれていた一言(ほぼ原文ママ)。
 普段、あなたは、ネットで検索→下調べ→取材なんですかー。
 特ダネだとでも思っているのか、でかい写真を載せていたな。

 ネットではほとんど情報が拾えなくても、現地に行けば見つかる情報など山ほどあるし、少し本を探せば、ネットではみつからなかった情報だって山ほどある。
 そこに住んでいる人にとってはあたりまえのことも、よそさんにとってはネタになる。
 こんな仕事をしてる人がいるから、ネット上にはだいじにしていることをうかつには書けないし、写真ものせられない。
 それは、ふつうにおいしい(個人の感想です)。わざわざ行くほどではないよ。通販してないけど、そんなのやってない店がほとんどじゃないか。話を盛らないで。
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# by matsutakekissa | 2016-06-10 22:14 | Trackback | Comments(0)  

喫茶店関連の本を読みました

 ご無沙汰しております。ようやく涼しくなってきて、何かに集中するにはよい季節となりました。
 今年春頃に書いた「喫茶店関連本」の記事ですが、取り上げた本は二冊とも上梓されていました。
 急いで、読書感想文を下記に書いてみます。

 泉麻人さんの「東京いつもの喫茶店」(平凡社、2013年8月刊)。版元のHPを閲覧していたのに、上梓には気づかず、秋になって、掲載店の喫茶店のひとつで、刊行を知りました。
 東京を中心とした喫茶店と街と人の姿を、街歩きを得意とする泉さんならではの文体で描かれています。街の歴史と独特の雰囲気が、喫茶店というフィルターを通して伝わってきます。泉さん個人の視点で書かれた文章のはずがいつの間にやら感情移入してしまうのは、かつて自分が訪れた時感じた街や喫茶店の印象と大きく重なっているからなのかもしれません。
 喫茶店の店主や常連客がさらりと発したことばからは、今現在を象徴した時代も語られていますが、数年後に読み直した時、今とは違った感想が出てくると感じました。
 挿絵のペン画とともに、章扉に挿入された消しゴムハンコ(?)らしきコーヒーカップやコーヒーミルのイラストも、手づくり感があってほのぼのします。
 街を歩いた時、喫茶店に入るのもいいかもしれないな、というきっかけづくりになるような本です。

 山之内遼さんの「47都道府県の純喫茶」(実業之日本社、2013年11月刊)。こちらは「純喫茶保存協会」というタイトルのブログを書いている会社員の男性の単行本です。
 いわゆる、「ブログ本」ではありません。著者の職業はコピーライター。コンパクトにまとめられた文章から、プロとしてのこだわりと喫茶店への愛情が感じられました。
 その土地で長く愛され続けてきた喫茶店を各都道府県ごとに取り上げていますが、各店舗の多様性はまるでご当地グルメのよう。
 喫茶店に付けられた名前の由来にはじまり、常連客にまつわる話、マスターやママさんの若かりし頃のエピソードなどがうまくまとめられていて、なんとなく店の雰囲気や旅情も伝わってきます。
 ブログの書籍化のお話は、以前訪れた喫茶店にて偶然店の方からお聞きしていて、上梓を楽しみにしていました。取材・執筆・撮影をおひとりで、しかも処女作とは思えないくらいにうまくこなしていると思います。
 いつか、遠くを旅する時、この本に載っている喫茶店がまだあれば訪ねてみたいものです。

 最後に、この二冊の本の共通点について。
 書名の背文字と表紙が手書き文字(泉麻人さんの本は前作「東京ふつうの喫茶店」のみ。今作はフォントです)。
 ソフトカバー、判型サイズが同じ。
 サブタイトルに「今」を感じさせる。
 著者はいずれも東京都出身、在住の男性。

 書名の文字は、やわらかい印象を与える手書き文字です。敢えて手書きにしたのは、喫茶店のもつイメージや書店店頭で目をひくようにとの意図も込められてのことでしょう。

 ソフトカバーや判型は持ち運びしやすさやコストを考えてのものだと思います。内容は濃いけど、本の重量はとても軽い。

 タイトルが目を引くためのものなら、サブタイトルはタイトルの補完と本音を表していると思います。泉麻人さんの本は「散歩の途中にホットケーキ」です。巷で流行りのホットケーキにあやかってのタイトルかと思いましたが、ホットケーキをメインにした喫茶店はわずか2店舗。たまにはホットケーキ専門店だけではなく、ホットケーキを食べに喫茶店を訪れては?というメッセージなのかもしれません。
 山之内遼さんの本は「愛すべき110軒の記録と記憶」。掲載数の多さをアピールすると同時に、「今現在」(最終確認年月が2013年9月)の喫茶店の姿であることを断り書きとしているように思われました。掲載店のいくつかは編集作業中に閉店となっています。残念ながら純喫茶は現在進行形で少しずつ消えつつある文化、期間限定の姿です。この記録を少しでも残すためのプロジェクトとして単行本化したのでしょう。

 東京在住という地の利は大きなものです。情報収集も有利です。しかし、あまりに情報が飽和しているのに辟易して、お二人とも地方の喫茶店を取り上げているのかもしれません。情報にさらされていない、魅惑の土地に期待を抱いて。
 しかし、東京在住は地方へのアクセスも有利なのです。地方出身の私としては、東京→地方、地方→東京、のアクセスは比較的簡単でも、地方→地方へのアクセスがいかに面倒かは身を持って知っています。たとえマイカーで全国各地を巡ったとしても、車では旧道や旧市街の路地に潜む喫茶店をきっとすべて探しきれません。お二人がともに地方の喫茶店を取り上げることができるのは、東京の地の利ゆえなのです。

 この後も静かな喫茶店ブームは続き、関連本の出版もあるでしょうか。楽しみです。
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# by matsutakekissa | 2013-11-11 10:53 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

純喫茶ビジネス

 そういう名前の喫茶店のことではありません。昔ながらの喫茶店に興味を持つ人口が一定層に達し、日本全国各地の純喫茶情報が商品価値あるものになってきたようだ、という話題です。
 
 喫茶店だけではなく、昭和50、60年代はもとより、70、80年代の雰囲気を残す建築物、家具、電化製品、衣服、その時代の雑誌など、あらゆる文化・風俗において言えるのでしょうが、喫茶店も例外ではないようで、
関連した単行本が今年も出版されるようです。私のしょぼい情報収集でも2冊出るらしいことを最近知りました。そのほか、雑誌やTVでも時々特集が組まれているし、水面下では様々な企画が上がっているのかもしれませんね。

 1冊は、泉麻人さんの平凡社ウェブマガジンに掲載されていた「東京ふつうの喫茶店」の続編。こちらは公式ホームページに連載終了と単行本化のお知らせが載っていました。
 書名にわざわざ「ふつう」と挙げてあるように、以前出版された第一弾では、豪華絢爛で個性的な内装の喫茶店を好んで取り上げているわけではなく、従来の喫茶店の役割―寛ぎ、憩い、その町のサロン的な場所として機能している居心地のよい店について取材しているように思われます。
 
 もう1冊は、某ブロガーさんの日本全国各地喫茶店めぐりの本。こちらはとある喫茶店の店主さんから、ブログのことと単行本化のお話を伺いました。ブログ上には今のところ、書籍化決定の話題が載っていないので、ブログ名と著者名は伏せます。
 2冊ともおそらく趣は異なるのでしょうが、現在失われつつある、古きよき喫茶店を取り上げている点は同じだと自分は思います。
 このような形で少しずつ、喫茶店めぐりという道楽が世間様に認知されていくのは、これまで肩身狭かった喫茶ヲタの自分にはありがたいですねえ。2冊とも、立ち読みして面白かったら購入するので、楽しみにしています。
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# by matsutakekissa | 2013-04-26 08:46 | お知らせ | Trackback | Comments(0)  

十年後

 十年、二十年後に今の自分を振り返ると、「あぁ、喫茶店に夢中になっていた頃ってあったなあ」とか云うのだろうなあ。
 十年前、ひそかにすごいなあと慕っていたカフェ・喫茶店好きの先輩(勝手にそう呼ばせてもらいます)がいました。好きが高じてカフェの本をつくり、カフェを運営し、カフェイベントを行うなど、精力的に活動されていた方でした。今はお休みされているそうですが。
 もしその方にお会いできたとして、今、カフェや喫茶店についてどう思いますか?と聞くと、自分の中では終わった出来事だからと云われるのかもしれません。

 自分の好きな昔ながらの喫茶店は年を追うごとに少なくなっていきます。十年後はもっと少なくなって、今はまだそんなに時間の経っていない店も、老舗と呼ばれる店になっていくのでしょうか。とすると、この道楽は期間限定の、今だけのおたのしみなのでしょうか。刹那的な懐古趣味。
 今だけのおたのしみと割り切って楽しんでいた時期も過去にはありましたが、今となってはむなしいです。



 このブログに書いた喫茶店の閉店状況、この1~2年間ほとんど更新していません。どうかご了承のほどを願います。
 あまり出歩けない状況でも昨年(2012年)での閉店を確認したのは銀座のニューキャッスル、向島のエデン、北千住のみゆき、京橋のイコイでした。しかし、ブログに書いたのは最後の1軒だけですが。この間は田原町・みちの閉店も確認しました。そのほか、まだまだたくさんあるのでしょう。

 古くからあるものは少しずつ新しいものへと、とって代わります。以前、平成生まれと思われる若者が浅草の蔦だらけの銭湯を指さし、ショウワ、ショウワと連呼しているのを目にして、あぁ、平成も二十数年を過ぎてから、昭和がこのように云われるのだなあと実感いたしました。

 ところで。昭和の世代って長いですよね?戦前のひとケタ代、終戦直後の二十年代、三十年代、四十年代、五十年代、六十年代生まれで、生活環境も価値観も文化も大いに違うのは明白です。ひとくくりに昭和といってもいろいろ、それこそ、日比谷公会堂の喫茶室のコピーを拝借すれば激動の昭和というやつで、まだまだ懐古にはほど遠く、複雑な思いがいたします。
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# by matsutakekissa | 2013-02-05 07:02 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)  

ムニャムニャせんべいと馬目焼

 昨年(2012年)12月10日、小沢昭一さんが亡くなられました。近年興味を持ち、多方面にわたる彼の業績のほんの一部にしか触れていない自分でも、小沢さんは仰ぎ見るような存在の人でした。役者としてだけではなく、研究者としても一流の方でした。お元気な頃のこともよく知りたかったし、残念でなりません。

 訃報を知る一週間ほど前に、小沢さんが愛していた羽田は穴守稲荷の煎餅を予約しようと電話してみたものの、12月のため既に予約で一杯でした。
 小沢さんはかねてより煎餅好きを公言し、著書やラジオでも度々そのことを取り上げておられました。穴守稲荷の煎餅はラジオ「小沢昭一的こころ」のシナリオを元に制作された単行本で知ったものです。

 単行本の章見出しは「ご意見無用、関東塩煎餅仕入れ旅」。塩煎餅。はじめは塩をまぶした煎餅と思い込んでいましたが、読んでいくとしょうゆ味の煎餅のことを塩煎餅と呼んでいるのだとわかりました。小沢さんが日ごろ食べ歩き探し歩いた煎餅のなかで、特に気に入っているものを紹介されているのですが、ご自身の幼い頃の思い出や色っぽいお話なども交えつつ、面白おかしく書かれていました。

 穴守稲荷のせんべいは江戸の後期創業、地元では有名な老舗煎餅店ですが、手焼きで代々家族が焼いているため大量生産ができないそうで、その単行本では、「ムニャムニャ煎餅」とぼかした表現になっていました。しかし情報氾濫の時世、特にグルメの類は詳細な情報がネットで手に入ってしまいます。
 現在は電話の予約注文でのみ受け付けていて、その後店舗へ赴いて購入するという、手に入りづらいおせんべいになっているようでした。
 昔の東京に詳しい方にその話をしたところ、その煎餅のことをよくご存じでした。「懐かしい。母が穴守稲荷の帰りによく買っていて、戦前の穴守稲荷は浅草よりも賑わっていた場所だったと言っていた。昔は普通に店頭で買えたものですが」とのこと。

 そののち、電話予約をして、何とかとうとう手に入れました。擬宝珠の形をした、うすやきのしょうゆのおせんべい。お米の粒をあえて少し残していて、しょうゆとのマッチングが香ばしく、くせになります。どこにでもあるようで、どこにもない味のおせんべい。なかなか食べられないからこそのありがたみを噛み締めつつ戴きました。

 さらに数年後。ある晩のNHKで、あの擬宝珠のおせんべいの映像が目に飛び込んできました。そうか、とうとう全国で映像が流れてしまったか。番組テーマである「散歩」という言葉はあくまで表向き、ち密な調査とロケハンの成果の上に成り立つ東京の知られざる一面を深く掘り下げている優良番組なのですが、せめて吉原と穴守稲荷の回だけは、ぜひ【特別篇】「ブラ小沢」でやってほしかった。いちファンとして勝手なことを考えました。

 話が長くなりました。しばらく羽田の煎餅は食べられそうにないので、代替品を買いに西新井大師へ行くことにしました。こちらも前述の単行本で知った西新井大師の門前に店を構える「浅香家」の馬目焼です。本によると、ウバメガシの備長炭で焼かれた登録商標の名物「馬目焼」は、超堅焼のおせんべい。焼く前の生地は塙団右衛門が使った刀のツバみたい、という比喩表現がなされていました。
 年末の大師前は嵐の前の静けさでした。寅さん映画が流行る前の柴又の門前の雰囲気ってこうだったかもしれないと思わせる風景が広がっています。煎餅屋も団子屋などの店舗数は新井薬師や川崎大師に比べて小規模ですが、観光名所しすぎていないのがいいな。
 浅香家さんの店先ではおせんべいを焼く姿がみられました。デイサービスを利用中の車いすのお年寄りが付き添いの女性と共にせんべいを選んでいたり、お年賀用か箱買いのお客さんがいて、地元の人に愛されているようです。
 馬目焼は一枚210円でしたが、小沢さんの著書によると大人の男のごはん茶碗一杯分の米を使っていて、これ一枚で腹がくちくなるそうです。もう一つの一押しは唐辛子を練りこみ、表面にざらめをまぶしたおせんべい、3枚で210円。このほかにも色々な種類があり、廉価なものでは小さめのしょうゆ味のおせんべい4枚で105円からあるので、食べたい分をちょっとだけ買うにも便利な価格設定なのがうれしいです。

 せんべいを買って、もう一足のばしました。先輩ママ友(と呼ばせてもらっていいのか)から教わったパン屋が大師の先にあるからです。TES Familyという変わった名前の店。大師前の門前からは徒歩10分ほどでしたが、住宅地の公園の近くにあるため、地元民でないと、偶然にもたどりつくのは難しそうでした。道はわかりやすく、大師の門前を出た大通りを西にまっすぐ歩いて、ロイヤルホストの裏手の公園の隣にあるとのことでした。
 果たして無事にたどり着けるかどうか、道中は少し不安でしたが、ログハウス調の一軒家を見て安堵しました。「喫茶とパン」と書かれた看板があり、店内はパンの焼き上がるいい匂いが漂っていました。
 パンはテイクアウトもイートインも可能です。彼女に教わった「2階で食べると眺めがサイコウ」という言葉を思い出して、調理パンのいくつかをテイクアウトしてもらい、オリジナルブレンドのコーヒーとパンのセットを注文して2階へあがりました。
 パンは温めて出してくれました。人気のジャーマンポテトドッグはたっぷりの具材が詰まっていて、お得感がありおいしい。コーヒーは自家焙煎だそうで、よい香りと味でした。大きくとられた窓からは冬の日差しが差し込んできて、目の前の公園の木々がよい借景です。鳥のさえずりも聞こえてきて、部屋の中なのに、外にいるような感覚でした。こんなカフェだったら自分でも入れます。教えてくれた彼女に多謝。

 後で店の方に伺ったところ、店は4年前に移転オープンしたそうで、以前は今の場所から公園を挟んだ向かいに店があったそうです。前の店の模型が2階に飾られていて、イスやテーブル、レジのカウンターや照明の一部も以前からのものを使っておられるそうです。今のお店、決してこじんまりしているとは思わなかったのですが、店の方は「前はもっとずっと広かったのよねぇ」と少し残念そうに話しておられました。

パン1種類、コーヒーとセットで500円でした。12時からのランチセット、パン2種類とドリンクセット700円がありました。
足立区西新井本町6丁目
日、月休
足立区の公社ニュースときめき2009年の号に記事が掲載されています。店は山小屋をモチーフに作られたと書かれていますが、2階席の奥にピッケルやかんじき、ランタンが飾られていたことを思い出しました。
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# by matsutakekissa | 2013-01-28 15:46 | エトセトラ | Trackback | Comments(0)